4. 老後に向けた貯蓄には計画とシミュレーションが大事

今後の物価高を考えると、年金だけでの生活に不安を抱える方も多いでしょう。

ただし、漠然とした不安を抱えるだけでは、貯蓄を効率的に進めることはできません。まずはいくらの老後資金をいつまでに備えるのか、綿密な計画が必要です。

4.1 老後資金はいくら必要か

金融広報中央委員会「各種分類データ(令和4年)ー家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によると、2000万円以上の貯蓄を保有する70歳以上の方は約3割です。

残りの7割は2000万円に届いていませんが、それでも生活に困っていない方はたくさんいるでしょう。

十分な年金がある方、あるいは労働による収入を得ている方、さらには株や不動産などの不労所得がある方もいます。

また収入が少なくても、支出が少ないため老後資金があまり必要にない方もいますね。

反対に、2000万円では介護費用や住宅改修費用まで対応できず足りないという方もいます。老後に困ることがないよう、いくら必要なのかを試算してみましょう。

子世帯との同居の有無や生活費、持ち家か賃貸か、居住地などを考慮するのがポイントです。

もちろんライフプランは変わるものなので、不計画なことも多いもの。しかし一度シミュレーションをしておけば、その都度変更するだけなので目安は立てやすくなります。

4.2 老後資金はいつまでに必要か

盲点なのが、「いつまでに老後資金を準備すべきか」という点です。一般的には60歳や65歳で定年退職を迎えるため、ここを基準にすることが多いです。

ただし、最近では定年延長や再雇用などにより、70歳を過ぎても働くシニアが増えました。

働ける目処があるようなら、目標期間を延ばすことで「月々の積立額」を抑えることが可能です。

ただし、働けなくなるリスクも忘れず、保険などで備えることが重要です。

こうした計画とシミュレーションを行うことで、具体的な目標に落とし込んでいきましょう。

5. 公的年金以外の老後対策を始めよう

年金受給額の実態を確認しました。

全体の平均月額が15万円に届いていないため、現役時代の収入を下回る方も多いでしょう。長い老後を考えると、お金には困りたくないですから資金計画が重要です。

iDeCoや来年から改定が予定されているNISA制度が注目を集めています。資産運用にはリスクもつきものですが、大きなリターンも期待できるため取り入れてみるのも良いでしょう。

どちらにしても、準備は早いうちから始めることが成功のポイントです。どのような準備が自分には合うのか、情報収集から始めてお金には困らないように備えておきましょう。

参考資料

徳原 龍裕