2. 厚生年金を30万円受け取るには年収いくら必要?

一般的に、厚生年金は「報酬比例部分」と「加給年金分」に分かれます。今回は、加給年金分を考慮せずに報酬比例部分だけで考えます。

シミュレーションする条件は、次の通りです。

  • 厚生年金の加入期間は38年間(456ヵ月)
  • 老齢基礎年金は満額で受給可能
  • 2003年4月から厚生年金に加入

公的年金の1階部分である老齢基礎年金は、満額で受給するとします。2023年4月分からの老齢基礎年金は、満額で6万6250円です。

そのため、厚生年金部分は残りの23万3750円となりました。報酬比例部分の計算は、次のように計算します。

計算すると、平均標準報酬額は約93万4500円となりました。ボーナスがない場合を想定すると、年収は約1121万円となります。

ただし、継続して年収が約1121万円でないと受給できない計算です。実際に、月額30万円を受給するには高い収入をキープし続ける必要があるでしょう。

3. 老後に向けた対策3選

年金生活に向けた老後資金対策には「資産と負債の把握」「金融資産の形成」「年金受給額の増額」があります。

  • 資産と負債の把握:ライフプランニング
  • 金融資産の形成:NISAやiDeCo
  • 年金受給額の増額:老齢年金の受給を繰り延べ

それぞれ確認しましょう。

3.1 老後に向けた対策1 資産と負債の把握:ライフプランニング

ライフプランは、将来の収入と支出を想定して、老後生活にどのような対策をすべきか検討するために実施します。

ライフプラン表を通して可視化できる主な内容は、以下の3つです。

  • 支出面を改善する必要性
  • 目標の資産額に到達するための積立金額
  • 金融資産を取り崩すタイミング

ライフプランを作成すると、収入に対する支出が適正な状態かひと目で分かります。もし支出が収入を上回っている場合、固定費や消費支出の見直しが必要になるでしょう。