4. 今すぐ実践したい「老後の備え」3選

前述したとおり現在の公的年金の受給額では、年金だけで生活していくのは難しく、老後生活を見据えて「年金以外の老後の蓄え」も大切になります。

本章では、今すぐ実践したい老後の蓄えについて紹介していきます。

4.1 NISA(少額投資非課税制度)

NISA(少額投資非課税制度)とは、「NISA口座(非課税口座)」内で、株式や投資信託といった金融商品を購入し、得られた利益が非課税になる制度を指します。

従来であれば、株式や投資信託などに投資をした場合、売却で得た利益や配当金に対して約20%の税金(所得税・住民税)がかかるようになっています。

しかしNISAの場合は、上記の税金が非課税となるほか、少額からでも始めやすいため「老後資産の蓄え」という定期的に長期投資していく目的には向いている制度といえます。

なお、NISAは2024年から新たに「新NISA」が導入され、さらに老後資金の形成がしやすくなったため、2024年から導入される新NISAにあわせて口座開設するのも良いでしょう。

4.2 iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で決めた掛金を積み立て運用することができる私的年金制度です。

iDeCoでの運用で増えた利益分は非課税となるだけでなく、掛金は全額「所得控除の対象」となるため、老後の蓄えをしながら節税効果が期待できるのは大きなメリットといえます。

なお、受取時も「公的年金等控除」や「退職所得控除」といった税制優遇を受けられるのもメリットのひとつです。

原則60歳以降まで引き出すことができず、途中解約不可ではありますが、それゆえに老後まで貯め続けやすいことが特徴です。

なかなか老後のための貯蓄ができない人は、iDeCoの利用を検討してみることをおすすめします。

4.3 個人年金保険

個人年金保険は、老後の蓄えの1つとして現役の間に加入する保険で、一定の年齢に達するまで保険料という形で積み立て、老後に年金のようにお金を受け取れます。

個人年金保険は、上限額はあるものの所得税と住民税の控除対象となるため、老後の蓄えとあわせて節税効果も期待できます。

一方でiDeCoと同様に、一度契約してしまうと一定期間は引き出すことが難しく、途中で解約してしまうと元本割れのリスクがあり、かえって損をしてしまうケースもあるので注意が必要です。

個人年金保険は、各社によってさまざまなタイプの種類の運用商品が販売されているため、自分に合う商品がないか検討してみると良いでしょう。

5. 老後のために現役時代にできる準備をしておこう

本記事では、60歳〜79歳の人が受け取れる、厚生年金・国民年金それぞれの「年金受給額」について紹介していきました。

本記事で実際に受け取れる受給額を初めて知り、「思ったよりも少ない」と感じた方もいるかもしれません。

現状、年金だけで老後の生活費をまかなうのは難しく、多くの人は年金以外の蓄えが必要になります。

本記事を参考に、ゆとりのある老後生活を送るための備えを今からしておけると良いでしょう。

参考資料

太田 彩子