新NISAでの住宅ローンの繰り上げ返済資金の積立をシミュレーション

では、具体的なケースを考えてみましょう。試算には金融広報中央委員会の「資金プランシミュレーション」を使用します。

現在35歳の人が3500万円の住宅ローンを借入期間35年、金利0.5%で組んだとします。

金利がずっと変わらない場合の毎月の返済額(ボーナス払いなし)と60歳時点、65歳時点のローン残高は以下のとおりです。

  • 毎月返済額:9万854円
  • 35年間の利息額:315万8680円
  • 60歳時点(25年後)残高:1063万2476円
  • 65歳時点(30年後)残高:538万2764円

住宅ローンが1%を切る低金利の場合、繰り上げ返済の利息軽減効果はそれほど大きくありません。

そのため教育資金などの支出がかさむ現役時代には無理に繰り上げ返済で手元の資金を減らさずに、運用で増やしていくことも選択肢の1つといえます。

ただし、完全にリタイアして年金生活者になってからの住宅ローンの返済は、生活費を圧迫します。

そのために、60歳、65歳など目標を決めて繰り上げ返済の資金を準備する計画を立てましょう。

新NISAで住宅ローンの繰り上げ返済資金を準備するなら、毎月いくら積み立てるか?

60歳時点で1063万円、65歳時点で538万円の資金を準備する場合、新NISAで毎月いくら積み立てるとよいでしょうか。

想定利回り(年率)を2%として試算します。試算には金融庁の「資産運用シミュレーション」を使用します。

  • 60歳時点(25年間)で1063万円を準備する場合:毎月積立金額2万7339円(運用益242万8000円)
  • 65歳時点(30年間)で538万円を準備する場合:毎月積立金額1万919円(運用益144万9000円)

繰り上げ返済で減少する利息額は、以下のとおりです。

  • 25年後:26万5756円
  • 30年後:6万6416円

新NISAでの運用は投資信託などを積み立てるため、リスクがあり、また将来の受取額は確定していません。

しかし、一般的には10年以上の長期投資では運用商品の値動きの振れ幅が抑えられ、安定した収益を得ることが見込める傾向にあります。