「老後は年金で悠々自適な暮らしをする」という理想を描いている人も多いかもしれませんが、近年の物価変動や実質的な年金額の目減りから、ゆとりのある老後生活はハードルの高いものといえます。
厚生労働省の「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のうち「生活が苦しい」と感じている世帯は、全体の48.3%となりました。
安心した老後の生活を送るためには、今のうちから老後に向けた資金準備が必要となります。
とはいえ、9月~10月にかけても物価上昇は続きます。日々のやりくりも厳しい中で、どれほどの人が順調に貯蓄を進められるのでしょうか。
本記事では、30歳〜70歳代の「貯蓄4000万円以上」の達成割合について解説していきます。
定年退職時の平均貯蓄額や、貯蓄事情の実態についても紹介しているので参考にしてください。
「貯蓄4000万円以上」30〜70歳代の達成割合
まずは、30〜70歳代のうち、貯蓄額4000万円以上を達成している世帯の割合を見ていきましょう。
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)ー2022年(令和4年)平均結果」によると、各年代で貯蓄額4000万円以上を達成している割合は下記の一覧表のようになりました。
30歳〜40歳代においては、貯蓄4000万円以上達成している割合は5%以下となっていますが、50歳代以降は徐々にその割合が増加傾向にあります。
60歳代〜70歳以上になると、貯蓄4000万円以上を達成している割合は2割近くとなっており、5〜6人に1人は老後資金を貯められていることがわかります。
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」の年代別の平均給与では、年齢が上がるにつれて徐々に平均給与が高くなっていることから、貯蓄に回せる金額も増えていくのでしょう。
また、60歳代以降は定年退職の年齢となるため退職金がもらえたり、親の遺産を相続し始めたりすることからも、一気に貯蓄額が増えるのだとうかがえます。
定年退職時の貯蓄額は?平均は約3000万円
前章で、現役を引退する「定年退職」のタイミングである60歳代が、どの年代よりも貯蓄額が多いことがわかりましたが、果たして老後生活をスタートさせる60歳代の貯蓄額の平均はどのくらいなのでしょうか。
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社の「2023年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」によると、還暦人となる60歳の平均貯蓄額は3454万円となりました。
平均で見ると貯蓄4000万円以上を下回っていますが、貯蓄2000万円以上を保有する割合が約3割であることから、約3人に1人は十分な貯蓄をしたうえで老後をスタートさせられているとうかがえます。