2019年10月1日は消費税率が8%から10%へと引き上げられた日です。今ではすっかり10%に慣れてしまい、当時の衝撃や困惑が薄れつつある方もいることでしょう。
この引き上げられた消費税を財源として、所得の低い年金生活者の生活をサポートするために設けられたのが「年金生活者支援給付金制度」です。
所定の給付金が年金に上乗せして支給されるものなので、できるなら受給したいものですが、受給するには条件を満たす必要があります。
2023年9月1日からは、新たに年金生活者支援給付金を受け取れる方へ「請求書(はがき型)」が順次発送されています。
この記事では、2023年度の「年金生活者支援給付金制度」の給付金額や対象者といった具体的な制度内容を解説していきます。
1. 年金生活者支援給付金制度とは。2023年度は2.5%増額へ
「年金生活者支援給付金」とは、公的年金やその他の所得が一定基準以下の年金受給者に、年金に上乗せして支払われる給付金のことです。
受給している年金の種類により、次の3つの給付金に分かれます。
- 老齢年金生活者支援給付金、補足的老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
ではそれぞれの給付金について概要を確認していきましょう。
まず、老齢年金生活者支援給付金の支給対象者や給付額は以下の通りです。
1.1 老齢年金生活者支援給付金【支給対象者】
- 65歳以上で国民年金(老齢基礎年金)を受給している方
- 世帯全員の市町村民税が非課税
- 前年の年金収入額(障害年金や遺族年金等の非課税収入は除く)とその他所得の合計が88万1200円以下
1.2 老齢年金生活者支援給付金【給付金額】(2023年度は2.5%増額)
給付金額は、以下の2つの合計額です。
- 保険料納付済期間に基づく金額(月額)=5140円×保険料納付済期間/480月
- 保険料免除期間に基づく金額(月額)=1万1041円(※)×保険料免除期間/480月
2つ目の※印「1万1041円」に該当する金額は、生年月日や保険料の免除割合によって以下のように異なります。
少しわかりづらいと思いますので、具体的な金額で計算してみましょう。
1.3 老齢年金生活者支援給付金の計算方法
例)昭和31年4月2日以降生まれで、保険料納付済月数が360ヵ月、全額免除月数が24ヵ月の場合
- 保険料納付済期間に基づく金額(月額)=5140円×360月/480月=3855円
- 保険料免除期間に基づく金額(月額)=1万1041円×24/480月=552円
合計すると、3855円+552円=4407円となります。
したがって、年金月額に上乗せして老齢年金生活者支援給付金4407円が支給されることになります。
なお、計算に必要となる保険料納付済期間や保険料免除期間は、年金証書や支給額変更通知書などで確認することができます。
2. 補足的老齢年金生活者支援給付金とは
老齢年金生活者支援給付金は、支給対象条件にすべて該当しないと受給することができないため、所得条件などがギリギリ該当せずに受給できない方もいます。
その結果、老齢年金生活者支援給付金を受給した方の方が所得総額が多くなってしまうケースがあります。
こうした逆転現象が起きないように、所得基準額を超えてしまう方でも受給できる「補足的老齢年金生活者支援給付金」があります。給付額は、所得が増えるほど減少していきます。
対象となるのは、「前年の年金収入とその他所得の合計金額が78万1200円超88万1200円以下の方」で、給付金は「保険料納付済期間に基づく額(月額)」に一定割合(※)を乗じて計算します。
(※)「(87万8900円-前年の年金収入と所得の合計額)/10万円」で計算
3. 障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金とは
障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金も確認しましょう。
障害年金生活者支援給付金について、支給対象者や給付金の詳しい内容は以下の通りです。
3.1 障害年金生活者支援給付金【支給対象者】
以下の2つの要件をすべて満たしている方が対象となります。
- 障害基礎年金を受給している
- 前年の所得(障害年金等の非課税収入を除く)が以下の金額以下である
「472万1000円+扶養親族の数×38万円(※)」
※生計を一にする配偶者のうち70歳以上の方または老人扶養親族の方は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の方は63万円
3.2 障害年金生活者支援給付金【給付金額】
給付金額は、障害等級によって次のように決められています。
遺族年金生活者支援給付金は、障害年金生活者支援給付金の支給条件と似ています。具体的な支給対象者や給付金は以下の通りです。
3.3 遺族年金生活者支援給付金【支給対象者】
以下の2つの要件をすべて満たしている方が対象となります。
遺族基礎年金を受給している
前年の所得(障害年金等の非課税収入を除く)が以下の金額以下である
「472万1000円+扶養親族の数×38万円(※)」
※生計を一にする配偶者のうち70歳以上の方や老人扶養親族の方は48万円、特定扶養親族や16歳以上19歳未満の扶養親族の方は63万円
3.4 遺族年金生活者支援給付金【給付金額】
給付金額は、月額5140円です。
ただし、遺族基礎年金を受給している子どもが2人以上いる場合は、5140円を子どもの人数で割った金額がそれぞれの受給金額となります。
たとえば、2人の子どもが遺族基礎年金を受給している場合は、ひとり2570円ずつを受給するということになります。
4. 9月に「年金生活者支援給付金請求書」を送付。見方と申請方法
「年金生活者支援給付金」の受給要件に該当する方には、毎年9月に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されます。
また、支給要件に該当するか確認作業が必要な方には、年金生活者支援給付金請求書および所得情報を確認するための所得状況届等が送付されます。
請求の手続き方法は簡単で、「年金生活者支援給付金請求書」に同封されているはがきに氏名等必要事項を記入し、切手を貼付してポストに投函するだけです。
請求書(はがき型)の表面には、給付金の支給見込額(月額)が記載されているので、いくら受給できるのか確認してください。
なお、すでに給付金を受給しており継続して支給要件に該当している場合は、翌年度以降の手続きは原則として必要ありません。
ただし、支給要件に該当しなくなったため給付金を受け取れなくなった方が、再び申請する際には改めて認定請求の手続きを行う必要があります。
請求書(はがき型)には提出期限が記載されていますので、期限内に忘れずに提出するようにしましょう。
5. 「年金生活者支援給付金」まとめ
年金生活者支援給付金は、年金を含めた所得が低い年金受給者の生活を支援することを目的として支給される給付金です。
受給するには所得制限があり、誰でも受給できるものではありません。
支給要件に該当する方には毎年9月に請求書が送付されますので、届いた際には速やかに請求の手続きをとりましょう。
また、請求書が手元に届かないなど不明な点がある場合は、給付金専用ダイヤルや近くの年金事務所で相談してみましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金」
- 公益財団法人 生命保険文化センター「老齢年金生活者支援給付金について知りたい|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「遺族年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)に関するQ&A
木内 菜穂子