好調な日本の株式市場。そうした中、次世代ネット証券会社に注目が集まっている。中でもユニークなサービスを展開しているのがFOLIO(フォリオ)One Tap Buy(ワンタップバイ)だ。今回、両社がどのようなサービスを展開しているのか見ていくことにしよう。

フォリオはβ版利用の一般公開を開始

フォリオは2017年11月15日に同社サービスのβ(ベータ)版利用の一般公開を開始したと発表した。フォリオは日本初のテーマ投資型オンライン証券サービスを開発し、そのβ版が一般にも公開されたというものだ。

フォリオのサービスで特徴的なのは、これまでのネット証券とは大きく異なるUI(ユーザインターフェース)をはじめとして、テーマごとに10万円から分散投資をはじめられるサービスだ。

また、投資ができるテーマにもユニークなものが多い。「次世代素材」、「VR(仮想現実)」、「e-Sport」、「京都」、「コスプレ」など、既存の投資信託といったこれまでの金融商品と比べても特徴のあるテーマが多いことがすぐにわかるラインナップだ。

とはいえ、いざ投資をするとなれば、テーマの目新しさだけでは投資に踏ん切りがつかないということも多いのではないだろうか。今回はフォリオの協力を得て、各テーマのパフォーマンスや人気ランキングを見ていきたい。

フォリオはどのテーマが儲かった?

フォリオのテーマのうちから、2017年8月21日終値から11月20日終値までの過去3カ月でパフォーマンスが良かったテーマと投資スタイル、及びパフォーマンスを見ていこう。

  1. インダストリアルロボット(グロース型):+26.7%
  2. 電気自動車(グロース型):+21.2%
  3. インダストリアルロボット(バリュー型):+20.3%
  4. インダストリアルロボット(バランス型):+19.1%
  5. 日本文化の源流「京都」(グロース型):+19.1%

同期間のTOPIXのパフォーマンスが+10.3%であったことを考慮すると、上位5位のテーマ及び投資スタイルのパフォーマンスは良好なものだったと言えよう。

フォリオは、投資をするテーマだけではなく、投資スタイルも選択することができる。基本的な投資スタイルである「バランス型」に加え、なるべくリスクを抑えたい場合は「ディフェンス型」、成長性が大きい企業の比率を高めたい場合は「グロース型」、銘柄の割安さを重視する場合は「バリュー型」と、4つの投資スタイルから選択することができる。

フォリオのどのテーマが人気?

では、どういったテーマが現在人気なのであろうか。以下は11月20日時点でフォリオの顧客により購入された口数が多いもののランキングだ。

  1. インダストリアルロボット
  2. 次世代素材
  3. グローバル・ニッチ・トップ
  4. サイバーセキュリティ
  5. 世界シェアNo.1
  6. 電気自動車
  7. 投資の王道「高ROE」
  8. 九州地方
  9. 人工知能
  10. 自動運転車

先に触れたパフォーマンスが良好だった「インダストリアルロボット」を筆頭に、「次世代素材」、「グローバル・ニッチ・トップ」が続く。いずれも日本のテクノロジーなどを背景に強みを持つ企業に投資をするテーマであり、投資経験の長い人にとっても納得のチョイスではないだろうか。

では、パフォーマンスがよく保有者の多い「インダストリアルロボット」のテーマをさらに詳しく見ていくことにしよう。

「黄色いロボット」でおなじみのファナック、知る人ぞ知る減速機の世界的プレーヤーのナブテスコ、モーターやインバーター大手の安川電機など、生産ラインの自動化には欠かせない企業が10社がズラリと並んでいる。

意外なテーマがよく見られている!?

また、フォリオは次世代ネット証券でありデータの収集にも積極的だ。どのテーマが「よく見られているか」のデータも集計しており、直近では次のようなテーマがよく閲覧されているという(注)。

  1. グローバル・ニッチ・トップ
  2. サイバーセキュリティ
  3. インダストリアルロボット
  4. 次世代素材
  5. コスプレ
  6. 人工知能
  7. 無人航空機「ドローン」
  8. テレビゲーム
  9. 世界シェアNo.1
  10. 九州地方

注:11月1日から11月19日までの間、各テーマ詳細ページの総閲覧回数を計測。

少し意外にも感じられるが、このランキングからは、パフォーマンスや購入口数の多かったテーマ以外に「コスプレ」や「九州地方」というユニークなテーマも閲覧されていることが見て取れる。

ワンタップバイはソフトバンク、ヤフーなどから出資受ける

フォリオがβ版利用の一般公開を発表したのと同日、証券取引アプリ「One Tap Buy」を提供するワンタップバイが既存株主であるソフトバンク、みずほ証券、モバイル・インターネットキャピタルに加えて、新たにヤフーを引受先とした第三者割当増資を実施し、総額25億円の資金調達を行ったと発表した。

また、サービス開始から1年6カ月で口座開設数が7万件を突破したことも明らかにされた。特に9月には月間口座開設数が1.5万件という実績が出ている。

アプリの累計ダウンロードも60万件とこちらの数字を見てもユーザーを惹きつけている印象がある。スタートアップのネット証券でテレビCMなども積極的に展開していたが、口座開設のスピードやアプリのダウンロード数には驚きだ。

出所:ワンタップバイ社プレスリリース「ソフトバンク、みずほ証券、ヤフー、MICを引受先とする総額25億円の第三者割当増資を実施」(2017年11月15日発表)

ワンタップバイのサービスは新規投資家層を開拓中!

ワンタップバイのサービスは代表的な米国株、日本株などをスマホで3タップ、金額指定の1,000円から株式投資ができることを特徴としている。

同社のユーザー属性は2017年9月末時点で20から30歳代がユーザーの65%を占めており、ユーザーの74%がこれまで投資経験がなかったとするデータも公表されている。こうしたデータからは投資家層の新規開拓と裾野を拡大している印象を受ける。既存のネット証券ではリーチしにくかった層かもしれない。

今回の増資でヤフーも株主として登場してきた。インターネットの雄であるヤフーの登場でワンタップバイとどのような取り組みができるのかにも注目したい。

まとめにかえて

好調な株式市場で新たな投資家を巻き込み、日本の個人投資家の資産形成に新しい選択肢を提供できるのか。フォリオやワンタップバイといった次世代ネット証券会社は今後も注目を集めることになるだろう。

LIMO編集部