人生100年時代と言われるようになった昨今、老後の生活を考える上で、公的年金(老齢年金)をどのくらい受給できるかを把握しておくことは非常に重要です。

物価上昇などの影響を受け、2023年度の年金額が1.9~2.2%の上昇に改定されたことは、現役世代の方でもご存じの方が多いかもしれません。

しかし、物価上昇率の方が高く、実質的には年金額は目減りしている状態です。

やはり年金だけで老後資金をまかなうことは難しい……と不安に思う方も多いでしょう。

果たして老後どのくらい年金額をもらえるのでしょうか。

今回は、気になるその年金の実態を確認するために、いまのシニア世代の「国民年金」と「厚生年金」の受給額を、60~89歳の1歳刻みで見ていきたいと思います。

1. 日本の年金制度についておさらい

最初に、日本の公的年金制度について、おさらいしておきましょう。

日本の年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2つの制度による「2階建て」の構造になっています。

1階部分「国民年金」は、原則、日本に住む20歳~60歳未満が加入する年金です。

自営業者などの第一号被保険者は、毎月保険料を自分で納めます。国民年金の保険料は全員一律で、年度ごとに見直しが行われます。ちなみに2023年度の保険料は1万6520円です。

2階部分「厚生年金」は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入する年金です。第二号被保険者に該当し、毎月の保険料を会社と折半で負担します。

なお、専業主婦・専業主夫など、第二号被保険者に扶養されている第三号被保険者は「国民年金」に該当しますが、個人として保険料を負担する必要はありません。

老後には、受給要件を満たした全ての人が「老齢基礎年金」を、厚生年金などに加入していた人は、老齢基礎年金に加えて「老齢厚生年金」などを受け取ることができます。

このような仕組み上、厚生年金は国民年金より一般的に手厚いとされています。