詐欺に遭わないためには、相手の立場で考えてみる「想像力」も大切です(経済評論家 塚崎公義)。

「詐欺の被害者」というと、高齢者が多いイメージがあるかもしれませんね。

出所:内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「資産所得倍増に関する基礎資料集」(令和4年10月)


内閣官房の資料(※)によれば、日本の家計金融資産全体の63%を「世帯主の年齢が60歳以上の世帯」が保有しています。

平均すればシニア世帯は多額の金融資産を持っているうえ、なかには判断力が低下している人もいるでしょう。よって、詐欺師の絶好のターゲットであることは間違いないと言えそうです。

しかし、詐欺師たちがターゲットとするのは高齢者だけではありません。

※内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「資産所得倍増に関する基礎資料集」(令和4年10月)

【詐欺に「遭わない・遭わせない」】ターゲットは高齢者とは限らない

法務省の「令和3年版 犯罪白書」を見てみましょう。

令和2年の詐欺被害者の年齢層を見ると、最も多かったのは70歳以上で、全体の約4割を占めています。しかし、30歳代までの若い世代の中の割合も一定数含まれますね。

「若者は、それほどお金を持っていなくとも、警戒心が薄く、比較的簡単に騙せる」という点は、詐欺師たちのターゲットになりやすいのかもしれません。

自分や周囲に詐欺の被害経験が乏しいと、警戒心を持ちにくいということもあるのでしょうか。ぜひ気をつけて欲しいものです。

エリートサラリーマンなども「自分は大丈夫だ」と思っていると、その自信とプライドが詐欺の被害につながるかも知れませんね。

「さすがにお目が高い」「すでにご理解いただいているように……」などと持ち上げられると、確認のために質問をしようという気持ちが弱まってしまい、疑問点を残したまま契約してしまうことにもなりかねないからです。