4. 70歳代「ひとりの老後」考えうる対策は
70歳代おひとりさまの貯蓄や年金を確認してきましたが、実際は個人差が大きいものです。
だからこそ、自分自身に合ったマネープランを考えて今から対策をしていくことが大切になってくるのではないでしょうか。
4.1 ひとりの老後対策①長く働き続ける
まず一つ目に考えられる対策として、「長く働き続けること」です。
長く働き続けることで、できるだけ長く毎月の収入を得ることができます。
毎月収入を得ることができれば、本来取り崩す予定であった、貯金や年金などを使わずに生活することができ、その分を繰り延べすることができます。また使わなかった分を資産運用に回すこともできます。
4.2 ひとりの老後対策②年金の繰下げ受給を検討する
一般的な年金の受給開始年齢は65歳からですが、75歳まで繰り下げることが可能です。
年金を繰り下げることで、ひと月あたり0.7%増額されます。これは老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて増額され、増額は生涯続きます。
また、どちらか一方のみ繰下げすることも可能です。
ただし、この対策は繰下げた期間の生活費が必要なため、長く働き続けることと併せて検討するといいのではないでしょうか。
4.3 ひとりの老後対策③資産運用を始める(例:私的年金やNISAを活用)
公的年金のみで老後資金が足りないのであれば、それを補う為に私的年金(個人年金保険やiDeCoなど)を活用するのも1つです。
また、NISA制度を活用して少額から資産運用を始めるのもいいでしょう。
iDeCoやNISAは、通常利益に約2割かかる税金が非課税になる制度です。ただし、運用にリスクがあり元本の保証があるわけではありません。ご自身でしっかりと情報収集を行い、自分に合った運用方法を選びましょう。
5. 人生100年時代に向けた備えを
70歳代のお金事情について見てきました。ゆとりある老後生活を送るためには貯蓄や年金やだけでは賄いきれない可能性がありそうですね。
まずはご自身が受け取れる年金額などを確認し、老後生活にどれくらいのお金が必要になるのかを試算するのもいいでしょう。
その上で老後生活に備えたマネープランを考えていくことが大事になってくるのではないでしょうか。
老後のマネープランを考えていくうえで、先ほどの3つの対策を参考にしていただければ幸いです。
また、対策も1つではなく複数行うことが、より安心した老後生活を送るための大事なポイントかもしれませんね。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 内閣府「令和4年版高齢社会白書」
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」
奥田 楓也