2. 遺族厚生年金「夫だけ55歳以上ルール」の見直し

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2023年7月28日に開催された「第6回社会保障審議会年金部会」では、こうした遺族厚生年金の男女格差について議論が繰り広げられました。

2.1 ルール見直しの背景

遺族年金は、一家の大黒柱が死亡した場合、遺族の生活を保障するための制度です。

受給権者の要件として妻には年齢制限がなく夫だけに年齢制限を設けているのは、男性が家計の担い手であるという考え方からです。

夫は会社員、妻は専業主婦またはパートという従来型の夫婦も多いですが、夫婦共働きが当たり前になり、妻の方が収入が高い家庭も増えてくるでしょう。

女性の就労参加が進む中、遺族年金制度においても男女格差の是正が課題となりました。

2.2 ルール見直しの方向性

第6回社会保障審議会年金部会において、「夫だけ55歳以上ルール」見直しの必要性は確認されましたが、具体的な改正内容が決まったわけではありません。

男性の年齢制限を撤廃するという改正や男女合わせて支給要件を見直すことなどが考えられます。

2014年4月、遺族基礎年金の支給対象者が「子どものある妻または子ども」から「子どものある妻・夫または子ども」に変更され、男女の格差がなくなりました。

遺族厚生年金についても男女格差の解消がポイントとなるでしょう。

「夫だけ55歳以上ルール」が改正されれば、子ども独立後に要件を満たす妻が死亡した場合、夫が55歳未満でも遺族厚生年金を受け取れることが期待されます。

3. 今後の遺族厚生年金に注目

遺族厚生年金における「夫だけ55歳以上ルール」とは、妻死亡時に夫が55歳以上でないと遺族厚生年金の受給権が発生しないという公的年金の定めのことです。

妻には年齢制限がないことから、男女格差の解消が検討されています。

2025年に予定される公的年金制度の改正では、夫の年齢制限の撤廃など男女平等な年金制度になる可能性もあるため、いざという時のために留意しましょう。

参考資料

西岡 秀泰