貯蓄が3000万円あれば老後は安泰?
「老後2000万円問題」が話題となったことから、「貯蓄が3000万円あれば老後は安泰」というイメージがあるかもしれません。
一見、貯蓄3000万円というまとまった額があれば「老後生活は安心」と感じてしまいますが、果たして本当に貯蓄3000万円の世帯は老後が安泰と言えるのでしょうか。
貯蓄が3000万円あっても、各世帯によって「受給できる年金額」や「ライフスタイル」「老後の生活期間」が異なることから、一概に安泰とは言えないケースもあります。
たとえば、65歳の夫婦世帯が下記の条件で、85歳まで老後生活を全うしたとします。
- 貯蓄額:3000万円
- 月々の支出費用:25万円
- 年金受給額:国民年金を受給(夫婦で13万円を想定)
上記の場合、毎月の赤字が17万円となり、老後生活の赤字分を貯蓄から切り崩すとなると、20年間で4000万円以上となるためマイナスとなります。
反対に「国民年金ではなく厚生年金」であったり、「月々の支出必要が25万円ではなく20万円」であったりすれば、生活が安泰になるケースもありえます。
ただし、日々の生活の中で突発的な支出は発生するものです。貯蓄目的が「老後」だけとは限らないので、子どもの進学費用や車の買い替え費用などで残高が減ることも十分にありえます。
現在の貯蓄が老後まで保ち続けられるのか、また老後はいくら必要なのかについて、今一度見直しておけると良いでしょう。
老後に安泰な生活ができるかは世帯によって異なる
本記事では、貯蓄3000万円を達成している世帯の「年収事情」について解説していきました。
貯蓄3000万円を達成している世帯の平均年収は1000万円前後となっており、3000万円というまとまった金額を貯蓄するためには、収入額も大きく影響しているとうかがえます。
また、貯蓄3000万円を達成している世帯の半数が「共働き世帯」であることから、夫婦で協力しあって貯蓄をしているケースが多いのでしょう。
とはいえ、貯蓄が3000万円あるからといって、老後が安泰になるとは言い切れません。
受け取る年金受給額や毎月の支出額によって、貯蓄が3000万円あっても生活が苦しくなるケースもあります。
老後に安泰な生活を送りたいと思っている方は、早いうちからコツコツと貯蓄額を増やしていくとともに、老後に受け取れる収入と、老後を想定した支出をシミュレーションして、目標となる金額をある程度明確にしておくことが大切でしょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年平均結果-(二人以上の世帯)」
- 国税庁「令和3年分 民間給与実態調査」
太田 彩子