3. 高齢者「おひとりさま世帯数」は増えている
老後を「おひとりさま」として迎える方は年々増えています。
厚生労働省が公表した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65 歳以上の方がいる世帯は2747万4000世帯で、全世帯の50.6%を占めています。
1986年は26%でしたので、35年間でおよそ2倍に増えました。
そして、高齢者世帯における単身世帯は31.8%。1986年の13.1%からこちらも2倍位上に増えています。
単身世帯の場合、比較的自由に自分のペースで老後資金を貯めやすい一方で、将来は一人分の年金収入となります。
介護のリスク等を考えると、より備えておくべきお金があると考えられます。
今のうちから年金以外の資産をしっかりと準備しておく必要がありそうですね。
4. 老後に向けた年金以外の資産の準備を
70歳代「おひとりさま世帯」のお金事情について見てきました。
貯蓄額の平均だけをみると「1400万円」ですが、実態として70歳代のひとり世帯の10人に3人が金融資産を持っていません。
厚生年金の平均は14万円台ですが、こちらも個人差が大きいことがわかりました。
年金だけでは生活費をカバーするのが難しい今、老後資金の準備はしっかりできているでしょうか。むしろ、物価高の今「貯蓄どころか出費が増えている」という世帯も多いかもしれません。
もちろん、老後に働き続けるのもひとつの方法です。しかし、健康面のリスクについてはしっかり考えておくべきでしょう。だれもが70歳を過ぎても元気に働けるわけではないのです。
まずは現状を把握しながら、老後に向けて不足する金額を把握してみましょう。目を背けたいことでもありますが、しっかり向き合うことで課題がクリアになります。
漠然とした不安を抱えるより、目に見える目標がわかることで、安心感も生まれます。
そのうえで、預貯金をコツコツ貯めることも一つ、資産運用でお金を増やす仕組みづくりも対策の一つです。
ただし、資産運用には預貯金とは異なり、元本割れのリスクもあります。まったく現金の備えがない場合は、まず余裕資金を貯めることが重要になります。
「税金の負担を減らす」という観点から見れば、国の税制優遇制度である「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」などを活用してみてもいいのではないでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
長井 祐人