2023年7月25日に開催された、アウンコンサルティング株式会社2023年5月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:アウンコンサルティング株式会社 代表取締役社長CEO 信太明 氏
決算概要>ハイライト
司会(AIナレーション):それでは、アウンコンサルティング株式会社の2023年5月期決算説明会を開催いたします。本日は、代表取締役の信太と、経営支援担当および常務執行役員の高橋が出席しています。
まずは、2023年5月期の決算のハイライトです。売上高は4億5,400万円、売上総利益は3億1,700万円、営業利益はマイナス7,100万円、親会社に帰属する当期純利益はマイナス8,900万円となりました。
決算概要>損益計算書
損益計算書です。2023年5月期に収益貢献した大型自治体案件の契約終了に伴い、2023年5月期は減収減益となりました。また、時価の下落や収益性が低下している資産については、特別損失を計上しています。
決算概要>貸借対照表
貸借対照表です。当期末時点における総資産は9億9,300万円、負債合計は4億2,200万円となりました。これは主に、投資有価証券の減少と借入金の増加によるものです。
決算概要>キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書です。現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度から2,100万円減少し、5億4,500万円となりました。四半期ごとの売上や利益の推移、サービス別の推移に関しては、8ページから13ページに詳細を記載していますのでご確認ください。
続いて、信太より今後の事業展開についてご説明します。
ビジョン
信太明氏(以下、信太):今回、初めてAIのナレーションを使いましたが、ここからは通常どおり進めていきたいと思います。私からは、将来的な話を中心にご説明します。
当社のビジョンは「Global impact!」です。グローバル領域で社会課題を解決することを掲げており、事業領域もそれに沿ったかたちで展開しています。
事業戦略
事業戦略について「大丸有」「海外SEO」「人材投資」の3つにフォーカスしてご説明します。まずは概要についてです。
1つ目の「大丸有」という言葉は、聞き慣れない方もいるかもしれません。大丸有とは、大手町と丸の内と有楽町のことで、いわゆる東京都千代田区の「丸の内オフィス街」が該当します。ここには大企業の本社が多く集積しており、そのような企業のグローバル領域の仕事にフォーカスしていきたいと考えたため、大丸有への営業を強化しています。
2つ目に、販売を強化する商品・サービスとして「海外SEO」を挙げています。こちらの市場ニーズは非常に強く、競合がほとんど見受けられません。さらに、利益率も高く単価向上の余地もあると判断していますので、こちらの販売を強化していきます。
3つ目は「人材投資」です。大丸有に対応できるよう、コミュニケーション能力の非常に高い人材を採用しています。また、高報酬で働きやすい環境に加え、学習機会も提供します。
これらの戦略により、ここ数年の課題である黒字転換への必達を目指します。
事業戦略>大丸有
1つ目の事業戦略である、大丸有についてご説明します。コンタクトポイントの強化とオフィスの移転を行っています。当社には、電話やメールなどで年間数百件の問い合わせがありますが、現在はそのうちの10パーセント程度が大丸有からとなっており、その数の倍増を目指しています。
具体的には、従来取り組んでいなかった広告や、以前大丸有に勤務されていたリタイア人材からの紹介などを強化しています。また、お客さまの近くに本社があった方が良いと考え、大丸有にアクセスしやすい丸の内に本社を移転しました。
参考として、丸の内エリアで配信している30秒弱の「YouTube広告」をご覧ください。
このように、5月頃から「YouTube」のロケーション機能を使い、丸の内にいる方や滞在する方のみに向けた広告を配信しています。
市場規模>大丸有>本社所在地
大丸有の市場規模についてご説明します。全国の東証プライム上場企業1,835社のうち、92社が大丸有にあります。
都心3区では617社、東京23区では1,018社となっており、やはり日本国内に本社を構える企業様の大多数は東京都内、特に都心3区、その中でも規模の大きな企業は大丸有に存在するといえます。
そのため、我々はまず大丸有への営業を強化し取引を拡大した後、徐々に他のエリアとの取引を広げていこうと考えています。
市場規模>大丸有>連結子会社
大丸有を中心とした大手企業は、連結子会社も数百社と非常に多く抱えています。これらの企業は以前から海外進出も強化していますので、そのようなところも含めて対象とし、取引を拡大していきたいと考えています。
事業戦略>海外SEO
2つ目の事業戦略である、海外SEOについてです。先ほどお伝えしたとおり、当社は海外の多言語と日本語において、SEOとインターネット広告の仕事を行っています。特に、英語や中国語、韓国語などのさまざまな言語での海外向けSEOにフォーカスしたいと考えています。
事業戦略>海外SEO実績
海外SEOにおける過去の実績も十分にあり、2,000以上の企業に提供しています。
市場規模>アウトバウンド>進出地域・数
当社の事業は、日本から海外進出するアウトバウンドと、海外から日本に呼び込むインバウンドに加えて、我々が「ノーバウンド」と呼んでいる、国内に滞在する外国人の3領域が主力マーケットになると考えています。
アウトバウンド領域については、国内のGDPが低成長になっていることもあり、海外進出が非常に旺盛です。今までは海外を生産拠点と位置づけている企業が多かったのですが、近頃はマーケットとしてアジアや北米、ヨーロッパに進出する企業も非常に多くなっていますので、そのような企業に対して、海外SEOを提供しようと考えています。
市場規模>アウトバウンド>企業形態・業種
アウトバウンド領域の業種についてです。現在、海外に進出している企業の拠点は7万社程度あります。スライド右側に記載のとおり、その中でも特に多い業種は製造業で、取引数も大きく増えている状況です。
市場規模>インバウンド>総数
インバウンド領域についてです。海外からの観光客は非常に戻ってきており、先日も「6月の訪日外国人が200万人を突破した」というレポートが出ていました。人数ベースでは、コロナ禍前の6割ぐらいまで戻ってきている状況です。
中国からの観光客はまだ戻ってきていませんが、それを除いても6割まで戻っていますので、中国の規制が緩和されれば、おそらくコロナ禍前の人数を抜くと思っています。当初は2025年頃に抜くだろうと考えていましたが、場合によっては2025年を待たずして抜くのではないかと期待しています。
市場規模>インバウンド>地域別
地域別の訪日外国人の旅行消費額、つまり日本で使ったお金です。まだ中国は戻ってきていませんが、アメリカやヨーロッパなど、長期間滞在するような遠方の国が非常に伸びています。遠方から来るイコール宿泊日数が多くなりますので、使う金額も多いということになります。
また、直近の6月において、金額ベースではすでにコロナ禍前を抜いたと発表がありました。当社はインバウンド減少の影響を非常に受けた会社ですが、これらの状況を踏まえ、今後はこのあたりもきちんと取り返していきたいと考えています。
市場規模>ノーバウンド
ノーバウンドについてです。現在、日本国内には約300万人の在留外国人がおり、働いている方も多くいます。
先日、岸田政権からも「これからは今まで以上に積極的に外国人を受け入れる体制をつくる」と発表がありましたので、今後はこのマーケットも非常に伸びるのではないかと期待しています。
事業戦略>人材投資
3つ目の事業戦略は人材投資です。どの企業も優秀な方を採用したいと思いますが、コロナ禍後は非常に人手不足が進み、採用の難易度がより上がってきていると思います。
そのような状況を鑑み、当社は社内において報酬目標を開示しました。2023年5月期に平均年齢35歳で年収440万円のところを、2年間かけて年収600万円に引き上げることを表明しています。この6月は平均5パーセントの賃上げを実施しており、今後もさらに引き上げることで優秀な人材を採用していきたいと考えています。
働き方についても、当社は新型コロナウイルスの流行直後から、完全リモートワークを3年以上継続しています。
勤務形態もスーパーフレックスで、5時から22時まで1分単位で月間勤務時間を調整できます。このように、非常に弾力的な採用や勤務形態を取ることが可能ですので、今は東京だけでなく地方在住の方々の採用も強化しています。
また、教育制度については、当社が事業を行っているAI領域や、海外の言語などを中心に教育投資を行いながら、1人あたりの生産性を上げ、その結果、報酬を上げるという良い循環を生み出したいと考えています。
以上で私からのご説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:大丸有の海外SEOの足元の手応えと受注状況について
司会者:「大丸有の海外SEOの足元の手応えと受注状況を教えてください」というご質問です。
信太:実は、大丸有での受注は以前からあり、おそらく当社の受注件数の約4割は大丸有にあたります。今期の戦略は、4割からさらに明確に割合を上げるために強化するものであり、受注状況は順調に推移しているとご理解いただいてよいと思います。
質疑応答:インバウンドおよび海外拠点の状況と今期見通しについて
司会者:「インバウンドおよび海外拠点の状況と、今期の見通しについて教えてください」というご質問です。
信太:当社のコロナ禍前の売上は半分程度がインバウンドに依存していたため、コロナ禍によりこの売上が蒸発し、大きな影響を受けました。
当社はインバウンド領域をかなり強化していましたが、その状況を受け、まずは日本国内から海外に進出する企業をメインにアウトバンドを強化することに決めました。そして、その次にインバウンド、ノーバウンド、海外拠点という優先順位に変更することとしました。
おそらく今後も、5年から10年に1回は新型コロナウイルスに似た感染症が流行すると考えています。現在、一番渡航者が多い国はタイで、その次がベトナムです。タイはすでに継続的に黒字拠点になっており、ベトナムもそろそろ黒字に貢献してもらえるのではないかと考えています。
質疑応答:黒字転換の達成時期と継続について
質問者:「黒字転換は今期達成見込みという認識でよいでしょうか? また、黒字は継続できるでしょうか?」というご質問です。
信太 :黒字転換については、終了した25期に過去のうみをすべて出し切ったと認識しています。そのため、26期についてはこの6月から非常にきれいなかたちでスタートを切れており、ここできちんと黒字転換を果たしたいと考えています。
かつ、現在の当社のビジネスモデルは、一度黒字転換してしまえば損益分岐点は比較的超えやすい体質に変化しているため、その後は継続できると自信を持っています。
質疑応答:今期の広告宣伝費や人件費について
司会者:「今期は、広告宣伝費や人件費がかなり重くなるという理解でよいでしょうか?」というご質問です。
信太:テレビコマーシャルなどでは2,000万円から3,000万円、タクシー広告では数百万円単位の広告宣伝費が必要になります。しかし、SEOや「YouTube」の動画広告等は、当社が一番得意とする事業領域の中にある商品・サービスです。それらの広告は、テレビやタクシー広告ほど大きな金額を使いませんので、まずはそのあたりから展開していきたいと考えています。
また、先ほども少し触れましたが、大丸有にある大企業で役員を務めた後にリタイアした方々と間接的に顧問契約が結べる「顧問バンク」というサービスがあります。当社もそのサービスを利用し、すでに何名かと契約を結んでいます。
こちらは、元大企業の執行役員クラスの方からご紹介を受けた場合、数万円の報酬を支払う、あるいは受注できた場合、受注額の数パーセントを支払うというかたちで、比較的、成功報酬に近いモデルとなっています。そのため当社は、いわゆるネット系やIT系の企業が陥る「大規模に広告宣伝費を利用して赤字幅が大きくなる」という状況は起きにくいと考えています。
人件費については、当社は少数精鋭で運営しています。過去においては、かなり多くの新卒採用を行っていたものの、昨今はどの企業も新卒の定着率が非常に悪く、2年から3年教育し、やっと戦力にできると思ったら転職してしまうというケースが多く、課題になってきています。
そのため当社は、中核人材については新卒ではなく中途採用を行い、高報酬に設定しています。その原資としては、新卒数名分を充てれば十分に見合う金額になると考えています。
加えて、当社はSEOとインターネット広告という2つの商品特性を持っています。SEOは、3ヶ月から6ヶ月程度の比較的短期間で教育が終わるプログラムが出来上がっているものの、インターネット広告については「Google」や「Yahoo!」など、当社が仕入れを行っている企業の仕様変更がかなり多く、戦力化するにはある程度の教育期間を要します。
通常は1年から2年程度が教育期間になるため、ここについては社内で教育をするよりも、我々がフェローと呼んでいる、すでにそのナレッジを持っている外注先に、当社の仕事の一部を担ってもらう方針に転換しています。
そのため、SEOについては中核事業として高報酬で社内人材の採用を行い、事業を提供しています。インターネット広告については、マネジメントは当社で行うものの、細分化した仕事は外注先も活用しながら展開していくかたちで、人件費をコントロールしていきたいと考えています。