60歳代世帯の貯蓄事情。貯蓄2000万円以上は何割?

老後2000万円問題は、高齢夫婦無職世帯をモデルにした貯蓄額ですが、果たしてどのくらいの60歳代夫婦世帯が「2000万円以上の貯蓄」をクリアしているのでしょうか。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」では、二人以上の60歳代の金融資産保有額の割合は【図表3】の円グラフの結果となりました。

上記の結果をみると、金融資産保有額が2000万円以上ある世帯は、全体の29.1%となっています。

その一方で、貯蓄をしていない「金融資産非保有」の割合は全体の20.8%となっており、老後に向けた貯蓄をしている人としていない人の差が大きく開いていることがわかります。

なお単身世帯の場合は、金融資産保有額が2000万円以上ある世帯は全体の23.7%であり、金融資産非保有者が全体の28.5%であることから、夫婦世帯よりも貯蓄をしていない人の割合が多いことがうかがえます。

老後2000万円では足りない可能性もある?

ここまで「老後2000万円問題の概要」と「老後資金である2000万円問題をクリアしている人の割合」について説明してきました。

老後2000万円問題は、高齢無職世帯の夫婦をモデルにしたケースであり、各世帯のライフスタイルが異なることから、老後を迎えるまでに全員が「絶対に2000万円が必要」というわけではありません。

しかし、老後2000万円問題の根拠となるデータ資料の実支出の内訳には、「介護費用」や「住宅のリフォーム費用」は含まれておらず、あくまで上記モデルを想定した場合の「最低限の費用」ということになります。

そのため、上記のモデルケースに該当する生活を行った場合は、そもそも「2000万円では足りない」といった懸念も出てきます。

本章では、老後の大きな費用として想定される「介護費用」と「住宅のリフォーム費用」の目安について解説していきます。