3.1 約4割が年金だけで生活している

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯において収入のすべてが「公的年金・恩給」だという世帯は 44.0%となっています。

この結果から、「高齢者世帯の44%が年金受給額だけで生活を成り立たせている」という言い方ができることになりますが、高齢者世帯において貯蓄を取り崩しているという状況もみられており、厚生年金、国民年金だけで暮らしているとは言いきれないようです。

3.2 高齢者の4割が生活のために貯蓄を取り崩している

2022(令和4)年の貯蓄の状況をみると、高齢者世帯において「貯蓄がある」と回答したのは 80.7%を占めていて、「1世帯当たり平均貯蓄額」は 1603万9000円となっています。現在年金を受給していている高齢者はどの世代よりも多くの貯蓄額を保有しています。

一方で2022年の調査で世帯主の年齢階級別に貯蓄の増減状況をみると、前年と比べて「貯蓄が減った」と回答した割合は全世代で36.3%となっており、60歳以上においては 4割を超えていました。

貯蓄の減った世帯の減額理由をみると、60歳以上の世代において「日常の生活費への支出」が75%を超えていました。ここから、高齢世帯においては生活費の不足分を貯蓄から補てんしている傾向があることがわかります。

4. 高齢者の年金と収入まとめ

データからみると現在の年金生活者の44%が年金だけで生計を立てていて、半数以上の高齢者世帯が年金額の収入だけでは生活費をまかなうには十分ではない状況です。

厚生年金の受給額は人それぞれ違いますし、生活にかかる金額も家計ごとに違いがあるため、いくら厚生年金と国民年金を受け取れば年金だけで生活できるのかは一概にはいえません。

老後に年金額だけでは生活できない場合に備えて、不足分の補てんを現役世代のうちから準備しておく必要があります。少しずつでも良いのでできることから始めましょう。

参考資料

高橋 禎美