音と映像のプロ向けトータルソリューション企業
ヒビノ(2469)は、プロ用AV機器の販売やコンサート・イベントの機材レンタルおよび運営サポートを提供する企業です。1964年に同社取締会長である日比野宏明氏が海外からの輸入製品を扱う音響設備機器会社として創業し、その後、コンサート音響事業、映像事業へと多角化してきました。
2006年には東証ジャスダックに上場し、2017年3月期のROE(株主資本利益率)は19%、自己資本比率は38%と財務体質は比較的健全です。
「音と映像のプレゼンテーター」というコンセプトのもと、テレビ局、公共施設等にプロ用音響・映像機器を販売する一方で、コンサートやイベント会場向けに音響・映像機器のレンタルや運営サポートを行うサービス事業を展開しています。
類似企業としては、ヤマハ(7951)、TOA(6809)、ローランド(2014年に上場廃止)、オーディオテクニカ(非上場)などがありますが、機器の製造販売だけではなく機材レンタルや運営サポートまで一気通貫で展開していることが同社の特色です。
また、他社にはない同社の強みとしては、以下のような特徴が挙げられます。
- プロ用AV機器の輸入商材は67ブランド(音響48、映像6、照明7、その他6)、レンタル用スピーカー保有数は3,698台、LEDディスプレイ保有面積は5,286㎡など、極めて多様かつ大量な品揃えがある
- 音響だけではなく映像分野でも専門性の高い人材を確保している
- コンサート・イベント分野での豊富な実績がある(2016年度には1日平均20件のコンサートやイベントの音響・映像をサポート、ドームコンサートの79%、アリーナコンサートの63%をサポート)
2018年3月期は、3カ年中期経営計画「ビジョン300」の最終年度となりますが、現時点での今期会社予想は当初計画に対して売上高は同水準であり(中計目標、今期会社予想ともに300億円)、経常利益は上振れ(中計目標18億円、今期会社予想20億円)の見込みとなっています。
東京五輪や統合型リゾートによるさらなる成長期待も
中期的には、東京オリンピック・パラリンピックの開催や、その後の統合型リゾート(IR)の具体化により、同社の事業機会の拡大が期待できます。また、コンサートなどの「コト消費」の増加や訪日外国人の増加により、質の高い「音響・映像」空間を構築するための投資拡大は今後も続くことが見込まれます。
こうした事業機会を捉えるために、同社はM&Aも積極的に実行しており、2015年4月には建築音響分野で長い歴史と実績を持つ日東紡音響エンジニアリング社を買収しています。
また、2016年3月にはプロ用AV機器・制御機器などの輸入販売を手掛けるエレクトリ社を買収。さらに、同年12月には、業務用AV機器のシステム設計・施行を手掛けるJVCケンウッド・アークスの全株式を取得し子会社化しました。
こうした取り組みにより、建築音響から電気音響までの一気通貫体制が構築され、既存事業が一段と強化されることや、照明などの新規事業の育成にも弾みがつくことが期待できます。
本稿は「個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)」の記事のダイジェスト版です。全文は以下からどうぞ(有料記事)。
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LIMO編集部