老後の生活に漠然と不安を感じている人も多いなか、老後を迎えるまでに、なにを検討すべきなのでしょうか。

2023年7月3日に公表された調査結果からは、高齢者の厳しい「住居」問題も垣間見えました。

50歳代の貯蓄額を踏まえながら、「老後2000万円問題」について解説します。

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50歳代の貯蓄額はいくら?

金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50歳代二人以上世帯の貯蓄額は、平均で1253万円でした(【図表1】参照)。

中央値でみると350万円で、約900万円の乖離があります。

金融資産の保有額別にみると「金融資産非保有」と回答した割合が24.4%でした。

およそ4人に1人が「貯蓄がない」と回答しています。

50歳代の貯蓄額は、老後の生活を考えると、厳しい状況にあるといえるでしょう。

老後2000万円が必要なのは本当か

老後の生活でたびたび話題にあがる「老後2000万円問題」ですが、一部では2000万円も必要がないといった情報も見受けられます。

金融庁が発表した「高齢社会における資産形成・管理」において、高齢夫婦の生活費が25万円で、収入が20万円のケースをみると、月5万円の赤字となる見通しです。

仮に5万円の赤字が30年続いた場合、最終的な不足額は1800万円となります。

さらに考慮するべきポイントは、今後のインフレリスクです。

生活費が25万円かかる状況でインフレが起こると、同じ生活水準を過ごすためには、より支出額が高くなります。

生活水準によっては、2000万円以上の金融資産を保有しておく必要があります。

結局は、個々の世帯状況によって必要な資産は異なるので、個別にシミュレーションして必要資金を把握しておきましょう。