ビットコインの取引は雑所得
平成29年9月に、ビットコインを使用した際の利益は雑所得という見解を国税庁が出しました。これでビットコインで利益を上げていた方もようやく課税方法が分かってすっきり(?)したかもしれません。FXがどれだけ稼いでも基本的に雑所得というように、ビットコインも稼ぎに関わらず雑所得として申告することになります。
ただ、FXの場合は、いわゆる申告分離課税といって、利益の金額に関わらず、20.315%で税率が一律なのに対して、ビットコインについては、そのような規定がないため、給与や不動産などのその他の所得と合算して税率を適用する総合課税が採られることになります。
今回は、他の所得と合算する雑所得の申告について、その特徴を見ていきましょう。
雑所得の特徴その1:他の所得区分と赤字の通算ができない
雑所得の特徴として、他の所得との間で赤字の通算ができないということがあります。
事業所得や不動産所得で赤字が発生した場合は、給料などその他の所得から引くことができます。雑所得の場合は、このような赤字の通算ができないので、雑所得の計算で最終的に赤字が発生しても、その赤字自体は所得税の計算上、何の意味も持ちません。
雑所得の特徴その2:雑所得内では通算ができる
このように、区分の違う所得間では通算できない雑所得ですが、混同しやすいものに、雑所得内部の通算があります。そもそも雑所得は大きく分けて3つあります。
1)公的年金等に係る雑所得
老齢基礎年金や老齢厚生年金などの老齢年金系や、退職年金などが含まれます。ちなみに障害年金や遺族年金はそもそも非課税なので関係ありません。
2)先物取引に係る雑所得
FXや株の先物、商品先物取引など差金決済を行うものによる損益が含まれます。
3)その他の雑所得
ビットコインや原稿料など、1)や 2)に該当しないものがすべて含まれます。
このうち、1)と 3)については通算が可能です。年金受給額が赤字になるということはあり得ませんので、その他の雑所得で発生した赤字を年金関係の所得から引くということになります。ビットコインから赤字が発生した場合、年金受給者であれば確定申告することで、年金と通算できるということになります。
ビットコインの取引を行っている年齢層から考えて、年金と通算できるという方は少ないかもしれませんし、そもそも年金所得自体が所得税の計算上かなり優遇されているので、通算できたところで戻ってくる税金もそれほどではないとは思いますが。
残された2)の先物取引については、残念ながら通算できません。FXや先物で赤字が発生しても、ビットコインでの黒字とは相殺できないということです。
先物取引には、適用税率の特例があるので、先物取引同士でないと通算が認められていないのです。さらに、先物取引で最終赤字が発生した場合、確定申告すれば3年間赤字を繰り越して、その間に発生した先物取引の黒字と相殺することができます。
今のところ、FX・先物もビットコインも投資なのに所得税の計算上は取扱いが全く異なっています。先物取引での確定申告に慣れている方にとっては、ビットコインの確定申告は別物として考えておく必要がありそうです。
渋田 貴正