厚生労働省が2023年7月4日に公表した「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のうち「生活が苦しい」と感じている世帯は、全体の48.3%となりました。

人生100年時代と言われている現代では、物価の上昇で老後資金が以前よりも多く必要になり、老後生活を不安視する人も多いのかもしれません。

「老後破綻」が懸念される現代において、果たして「年金だけで老後生活」を送れるのでしょうか。

本記事では、老後生活の現状及び老後に受け取れる年金受給額について紹介していきます。

老後に必要な生活費についても紹介しているので、「年金だけで老後の生活は送れるのか」を一緒に考えていきましょう。

1. 年金だけでは生活が苦しい?働き続けるシニア世代の現状

一昔前までの日本であれば、定年退職後は年金暮らしをするのが一般的でした。

しかし現代においては「老後資金の貯蓄がないと老後は厳しい」と言われており、定年退職後も働き続けるシニアが増加傾向にあります。

総務省が発表した調査データによると、60〜64歳の71.5%、65歳〜69歳の50.3%が就労しています。

出所:総務省「統計からみた我が国の高齢者」

上記グラフからも分かるとおり、60歳代は半数以上の人が就労していることから、現代では「還暦を過ぎたら年金だけで暮らす」という老後生活をしている人のほうが少ないのかもしれません。

実際に、厚生労働省が公表した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金だけで生活している人は、全体の44%と半数にも満たない結果となっています。

出所:厚生労働省 2022(令和4)年「国民生活基礎調査の概況」

上記の結果から、半数以上の高齢者世帯は年金だけでは生活できず、貯蓄を切り崩したり、就労したりして生活費を補填しているのがうかがえます。

まだ老後生活が漠然としている中では、具体的な年金受給額や生活費のイメージが付きにくいため、「年金だけで生活していけるだろう」と考えてしまいますが、実際は年金以外の貯蓄や収入源が必要となってきます。

安心した老後生活を送るためは、今から「年金受給額」と「老後に必要な生活費」を把握しておくことが大切です。

次章にて、それぞれ詳しく解説していきます。