3. 老後の平均生活費はいくら?

前章で、厚生年金と国民年金の平均受給額がそれぞれ「14万3965円」「5万6368円」であることがわかりましたが、上記の年金受給額で老後の生活をしていくことは可能なのでしょうか。

総務省統計局の公表したデータによると、2022年の二人以上世帯・単身世帯それぞれの一ヶ月の消費支出は下記のようになりました。

出所:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」を参考に筆者作成

夫婦の月額平均消費支出は約29万円となっており、夫婦ともに厚生年金に加入した共働き世帯であった場合はギリギリ暮らしていける可能性があります。

しかし、自営業者夫婦であったり専業主婦であったりする場合は、年金だけで生活していくのは難しいかもしれません。

単身世帯の場合は、厚生年金であってもややマイナスとなり、国民年金の場合はさらに生活費が不足します。

上記のことから、現代の年金受給額で「年金だけで生活していく」というのは、少々ハードルの高いものと言えます。

とはいえ、上記の消費支出はあくまで平均的なものであり、各世帯のライフスタイルによっては、より支出を抑えて生活することも可能でしょう。

「年金だけで生活していけるか不安」と感じている方は、まずは自身が受け取れる年金受給額の確認と、老後の消費支出のシミュレーションをしておけると良いですね。

もし「年金だけでは足りない」と思った場合は、今のうちから老後資金を貯蓄したり、老後いつまで働くかのライフプランを考えたり計画することで、老後の安心材料になるでしょう。

4. 「年金だけで生活」は昔の話。老後を見据えて事前に準備を

本記事では、老後生活の現状及び老後に受け取れる年金受給額について紹介していきました。

高齢者世帯の半数が「生活が苦しい」と感じており、年金だけで生活している世帯は約4割という結果から、「老後は年金だけで生活していく」という世帯は現代では難しいものと言えます。

現在の年金制度が従来のまま維持されるとも限らず、年金受給が繰り下げられたり、減ってしまったりする可能性も考えられます。

「年金だけでは老後の生活費が足りないかもしれない」と不安に感じている方は、今のうちから老後資金の貯蓄や、ライフプランの見直しをして、事前に準備をしておけると良いでしょう。

参考資料

太田 彩子