65歳から受け取れる公的年金について、「繰下げ受給」を検討している人もいるかもしれません。
年金の繰下げ受給は、繰下げた期間に応じて年金額が増額されるメリットがありますが、一方でデメリットや注意点についても知っておく必要があります。
今回は、繰下げ受給の待機中に亡くなった場合の取り扱いについて解説します。
1. 待機期間中に亡くなった場合は「未支給年金」が受け取れる
年金の繰下げ受給の待機期間中に亡くなった場合、遺族が「未支給年金」として一時金を受け取ることができます。
しかし、気を付けたいのが未支給年金の金額についてです。
繰下げ受給を行うと年金の受給額が増額されますが、未支給年金として受け取れるのは「65歳時点での年金額」となります。
分かりやすく具体例で考えてみましょう。
1.1 【前提条件】
- 73歳0ヶ月まで繰下げ受給を行う
- 65歳時点での年金額は年間200万円
73歳0ヶ月まで繰下げ受給を行うと、年金の受給額が67.2%増額されますので、増額後の受給額は200万円×167.2%=約334万円です。
1.2 未支給年金額
しかし、待機期間中の72歳0ヶ月でなくなった場合、それまでに増額された58.8%は上乗せされず、65歳時点での年金額200万円をベースに未支給年金が計算されます。
つまり、繰下げ期間の待機中に亡くなった場合、それまでの繰下げ期間で増額された分は一切考慮されないということです。