2.4 年金から天引きされるお金 所得税
所得税は年金額やその他の所得などによって異なります。年金額から各種控除や社会保険料を差し引いた課税対象額により決定します。
ご確認いただいたとおり、現役時代の給与からも天引きされていた税金や保険料が、老後生活を支える老後年金からも徴収されています。
実際にいくら天引きされるかは、年金収入や控除できるもの、その他の所得など、個々で事情が異なるため、ご自身で把握しておきましょう。
年金受給額は、年金受給開始時(年金受給開始後も)に届く「年金振込通知書」で確認できます。しかし、年金振込通知書が届いてから「手取り額が少ない」と気づくようでは、老後の生活設計が狂ってしまいます。
現時点での”おおよそ”の金額にはなりますが、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、年金額を把握しておきましょう。
3. 【老齢年金】天引きされる金額はどのくらい?
ご参考までに、老齢年金からどのくらいの税金や保険料が天引きされるのか見ておきましょう。
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」と「65歳以上の単身無職世帯」の非消費支出(税金と社会保険料)は以下のとおりでした。
《65歳以上の夫婦のみの無職世帯》
- 天引き額:3万1799円
- 実収入:24万6237円(内、公的年金:22万418円)
- 直接税:1万2854円
- 社会保険料:1万8945円
《65歳以上の単身無職世帯》
- 天引き額:1万2284円
- 実収入:13万4915円(内、公的年金:12万1496円)
- 直接税:6660円
- 社会保険料:5624円
天引きされる金額は収入額や各種控除額でそれぞれ異なりますが、約24万円の収入に対して天引きされる金額は約3万円、約13万円の収入に対して天引きされる金額は約1万円です。
老後、早い段階で貯蓄が底をついてしまわないためにも、「天引き」を考慮して老後の生活設計を考えておきましょう。
4. 【老齢年金】国民年金・厚生年金の受給額(額面)はいくら?
では、いまのシニアの方たちは、毎月どのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、公的年金の受給額を額面ベースで確認していきます。
4.1 「 国民年金」の平均受給額(月額)
国民年金の受給額は以下のようになります。
〈全体〉平均年金月額:5万6368円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9013円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4346円
保険料が一律であるため男女平均ともに5万円台であり大きな差はありません。
《国民年金の受給額(1万円ごとの人数分布)》
- 1万円未満:7万27人
- 1万円以上~2万円未満:28万4152人
- 2万円以上~3万円未満:90万3006人
- 3万円以上~4万円未満:274万9550人
- 4万円以上~5万円未満:463万6048人
- 5万円以上~6万円未満:791万730人
- 6万円以上~7万円未満:1500万3006人
- 7万円以上~:187万2466人
国民年金の受給額で大きな割合を占めているのが6万円~7万円未満となっています。
個人差が少ないのが特徴ですが、額面で5万円台となると手取り額はかなり厳しいのが現状です。