今年12月からシャープは8Kテレビを日本で発売

家電量販店のテレビ売り場では4Kの文字が目立ちます。また、ドンキホーテなどが4K対応50型で5万円台の格安製品を投入したことも大きな話題となっています。

そうしたなか、シャープは4Kよりもさらに解像度が高い8Kテレビを2017年12月から日本で発売すると発表しています。ちなみに、画面サイズは70型で、価格は100万円前後とのことです。

このシャープの動きに対しては、画質は4Kで十分だ、100万円は高すぎる、見たい番組もないのに画質だけいいテレビを作ってもしょうがない、女優の顔がくっきりと見え過ぎてかえってげんなりする、などという否定的な考えがあるかもしれません。

とはいえ、これから日本では8Kの普及に向けて本格的な取り組みが行われることを考慮すると、シャープの試みは必ずしも“的はずれ”とは言えないのではないでしょうか。

2020年のオリパラに向けて「4K・8K」への取り組みが本格化

実際、これまで総務省を中心として、2020年の東京オリンピック・パラリンピック時に「4K・8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K・8K番組を楽しんでいる」ことなどを目標とした活動が行われており、すでに2016年からBSを使った4K・8Kの“試験”放送が始まっています。

また、今から約1年後の2018年12月からは、いよいよ、BSと110度CSによる4K・8Kの“実用”放送が始まる予定です。

なお、この実用放送ではBS、CS合わせて11社が放送を行う予定ですが、このうち8K放送を行うのは「BS左旋」を使って放送されるNHKの番組だけです。それでも8Kテレビと、専用のチューナーとアンテナさえ揃えれば、特設サイトに行かなくても、家庭で8K画像を視聴できることになります。

ただし、アナログ停波ほどのインパクトはないだろう

このように、4Kや8Kの普及への取り組みは着々と進んでいますが、今後の2011年にアナログ放送が停止された時に起きたような、大規模な買い替え需要につながる可能性は低いと考えられます。

その理由は、現行の地デジ対応のテレビは、2Kであっても4Kであっても、今後も継続して使うことができるためです。地上波デジタルについては、今のところ4K・8Kに移行する予定はないため、これまでと変わりなく視聴できるのは当然としても、BSやCSでも全てが4K・8Kへ移行するわけではないのです。

また、仮に現時点で4K対応テレビを買ってしまったとしても、新たにチューナーとアンテナを揃えれば、2018年12月から始まる4K・8Kの実用放送を見ることができます。

家庭用以外の用途の広がりに期待

このように、8K対応テレビが家庭用として短期間に爆発的に売れるとは予想しにくいものの、8Kが持つ高精細な画像技術がそれ以外での用途で広がることには期待が持てます。

具体的には、医療(遠隔診断、内視鏡の手術・検査の精度向上)、防犯(セキュリティカメラの高度化)、パブリックビューイング、教育、サイネージ(広告塔)などとしての活用です。

このように、4K・8Kの超高精細映像技術は、放送以外に多くの活用の可能性を秘めています。東京でのオリパラ開催まであと3年弱です。シャープに限らず、4K・8Kへの取り組みが、今後さらに高まっていくかを注視していきたいと思います。

LIMO編集部