日本国内の住宅価格は2013年ごろから上昇傾向が続いています。国土交通省の2023年6月30日に公表された不動産価格指数(住宅)(2010年の平均値を100とする)は、前月比0.5ポイント増の134.3でした。
これからマイホームを購入する人は、物件価格が上昇する中で無理のない住宅ローンの返済計画を立てる必要があります。
今回は、一例として年収500万円の人の無理のない住宅ローンの借入額をシミュレーションします。住宅ローンの計画の参考にしてください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【住宅ローン】「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」の違い
住宅ローンの審査項目の「返済負担率」とは、年収に対するローンの返済額の割合です。
国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、【図表2】を見ればわかる通り、93.0%の金融機関が返済負担率を審査項目としています(長期・固定金利の住宅ローン)。
返済負担率の基本的な計算式は、以下のとおりです。
返済負担率(%) = 年間のローン返済額 ÷ 年収 × 100
この計算式の年間のローン返済額には、住宅ローン以外の返済額も含まれます。住宅ローンを申込む時点でマイカーローンやスマートフォンの分割払い、奨学金の返済などがある場合、その返済も含めて計算するのです。
【住宅ローン】フラット35の返済負担率
金融機関の住宅ローン審査に通るための返済負担率の目安が、額面年収に対して25%から35%といわれています。長期固定金利のフラット35の場合、申込みの条件として以下のように決められています。
- 年収400万円未満:返済負担率30%以下
- 年収400万円以上:返済負担率35%以下
額面年収に対して借入額が30%以下であれば、金融機関の審査基準を満たすと考えられます。
【住宅ローン】返済負担率の注意点2つ
しかし、金融機関が貸してくれるからと融資可能額の上限まで借りてしまうと、途中で返済が苦しくなるおそれがあります。金融機関の審査では額面年収を基準にして、扶養家族の人数のような各家庭の事情まではあまり考慮しないからです。
また、住宅ローンは長期に渡る返済のため、途中で家計状況が大きく変わる可能性もあります。
それらを考慮して、最後まで無理なく返済できる借入額である必要があるわけです。一般的に理想的な返済比率は手取り収入(額面ではない)の20%といわれています。20%が難しい場合でも、25%以内には抑えたいところです。
住宅ローン「額面年収500万円」で借りられる金額をシミュレーション」
ここからは年収500万円の人が無理なく返済できる金額を、借入できる金額と比較してみます。なお、試算には金融広報中央委員会の「借入返済額シミュレーション」を利用します。
シミュレーション条件
額面年収500万円の人が以下のような条件で借入できる金額を計算します。
- ボーナス払いなし
- 年0.5%の変動金利(完済まで変わらない場合)
- 返済負担率30%(毎月の返済額12万5000円)
この条件での借入限度額は以下のとおりです。
【年数別】年収500万円で借入できる金額は?
- 返済期間20年:2854万円
- 返済期間30年:4177万円
- 返済期間35年:4815万円
同じ条件で、金利が全期間で年1.8%の場合の借入限度額は以下のとおりです。
年収500万円・年1.8%で借入できる金額は?
- 返済期間20年:2517万円
- 返済期間30年:3475万円
- 返済期間35年:3892万円
額面年収の30%を基準とした場合、現在の変動金利なら5000万円近い借入ができる可能性もあることがわかります。
住宅ローン「手取り年収400万円」で無理なく返済できる借入額をシミュレーション
では、無理のない返済が可能な借入金額は、借りられる金額とどのくらい差があるでしょうか。額面年収500万円の手取り収入を400万円として試算してみます。
以下のような条件での理想の借入額となります。
シミュレーション条件
- ボーナス払いなし
- 年0.5%の変動金利(完済まで変わらない場合)
- 返済負担率20%(毎月の返済額6万7000円)
この条件での借入限度額は以下のとおりです。
【年数別】年収400万円で借入できる金額は?
- 返済期間20年:1529万円
- 返済期間30年:2239万円
- 返済期間35年:2581万円
同じ条件で、金利が全期間で年1.8%の場合の借入限度額は以下のとおりです。
年収400万円・年1.8%で借入できる金額は?
- 返済期間20年:1349万円
- 返済期間30年:1862万円
- 返済期間35年:2086万円
手取り収入の20%では、借入可能な額の半分に近くなることがわかります。
借りられる金額の上限まで借りてしまうと、家計支出が増えた場合に対応しきれないおそれもあるでしょう。
現状、変動金利のほうが借入可能額は多くなりますが、長期の返済には金利上昇リスクがあります。変動金利を選ぶとしても、金利が上昇したケースも想定して計画を立てましょう。
「無理なく返済できる金額」と「希望金額」に差がある場合どうすべきか
無理なく返済できる借入額が希望する借入額を大きく下回る場合、どのように対応すればよいでしょうか。
返済率25%にする
返済負担率20%では希望する物件に手が届かない場合、25%まで上げてみましょう。
以下のような条件での理想の借入額となります。
- ボーナス払いなし
- 年0.5%の変動金利(完済まで変わらない場合)
- 返済負担率25%(毎月の返済額8万3000円)
この条件での借入限度額は以下のとおりです。
- 返済期間20年:1895万円
- 返済期間30年:2774万円
- 返済期間35年:3197万円
同じ条件で、金利が全期間で年1.8%の場合の借入限度額は以下のとおりです。
- 返済期間20年:1671万円
- 返済期間30年:2307万円
- 返済期間35年:2584万円
その他の方法
返済負担率を25%まで増やす以外には、以下のような対応方法が考えられます。自分に合った方法を検討しましょう。
- 自己資金をできるだけ多く準備する
- 返済期間を延ばす
- 購入する物件を変更する
住宅ローンは家計支出が増えても返済できる借入額にしましょう
手取り収入からの返済負担率20%の返済額は借入可能額に比べて少ないため、「もっと返せるのではないか」と考える人もいるでしょう。
住宅ローン契約時にはゆとりのある返済額でも、子どもの教育費のピークなどで家計支出が増えると、返済が苦しくなる可能性があります。
限られた収入で教育資金・住宅資金・老後資金をまかなっていくには、住宅ローンが重くなりすぎない計画が大切です。

