住宅ローン「手取り年収400万円」で無理なく返済できる借入額をシミュレーション
では、無理のない返済が可能な借入金額は、借りられる金額とどのくらい差があるでしょうか。額面年収500万円の手取り収入を400万円として試算してみます。
以下のような条件での理想の借入額となります。
シミュレーション条件
- ボーナス払いなし
- 年0.5%の変動金利(完済まで変わらない場合)
- 返済負担率20%(毎月の返済額6万7000円)
この条件での借入限度額は以下のとおりです。
【年数別】年収400万円で借入できる金額は?
- 返済期間20年:1529万円
- 返済期間30年:2239万円
- 返済期間35年:2581万円
同じ条件で、金利が全期間で年1.8%の場合の借入限度額は以下のとおりです。
年収400万円・年1.8%で借入できる金額は?
- 返済期間20年:1349万円
- 返済期間30年:1862万円
- 返済期間35年:2086万円
手取り収入の20%では、借入可能な額の半分に近くなることがわかります。
借りられる金額の上限まで借りてしまうと、家計支出が増えた場合に対応しきれないおそれもあるでしょう。
現状、変動金利のほうが借入可能額は多くなりますが、長期の返済には金利上昇リスクがあります。変動金利を選ぶとしても、金利が上昇したケースも想定して計画を立てましょう。
「無理なく返済できる金額」と「希望金額」に差がある場合どうすべきか
無理なく返済できる借入額が希望する借入額を大きく下回る場合、どのように対応すればよいでしょうか。
返済率25%にする
返済負担率20%では希望する物件に手が届かない場合、25%まで上げてみましょう。
以下のような条件での理想の借入額となります。
- ボーナス払いなし
- 年0.5%の変動金利(完済まで変わらない場合)
- 返済負担率25%(毎月の返済額8万3000円)
この条件での借入限度額は以下のとおりです。
- 返済期間20年:1895万円
- 返済期間30年:2774万円
- 返済期間35年:3197万円
同じ条件で、金利が全期間で年1.8%の場合の借入限度額は以下のとおりです。
- 返済期間20年:1671万円
- 返済期間30年:2307万円
- 返済期間35年:2584万円
その他の方法
返済負担率を25%まで増やす以外には、以下のような対応方法が考えられます。自分に合った方法を検討しましょう。
- 自己資金をできるだけ多く準備する
- 返済期間を延ばす
- 購入する物件を変更する
住宅ローンは家計支出が増えても返済できる借入額にしましょう
手取り収入からの返済負担率20%の返済額は借入可能額に比べて少ないため、「もっと返せるのではないか」と考える人もいるでしょう。
住宅ローン契約時にはゆとりのある返済額でも、子どもの教育費のピークなどで家計支出が増えると、返済が苦しくなる可能性があります。
限られた収入で教育資金・住宅資金・老後資金をまかなっていくには、住宅ローンが重くなりすぎない計画が大切です。
参考資料
- 国土交通省「不動産価格指数(令和5年3 月・令和5年第1四半期分 )」
- 国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」
- 住宅金融支援機構「フラット35ご利用条件」
- 金融広報中央委員会「借入返済額シミュレーション」
松田 聡子