2.3 公的年金から天引きされるもの3:所得税
年金は「雑所得」に区分され所得税の対象となります。
年金額から公的年金等控除額110万円、基礎控除48万円、社会保険料(介護保険・国民健康保険または後期高齢者医療保険)、その他の控除を差し引いた金額に対して約5%の所得税が天引きされます。
年金収入が月額16万円(年額192万円)、社会保険料の合計が年間で17万円の場合
所得=(192万円-110万円)-48万円-17万円=17万円
所得税:17万円×5%=8500円となります。※あわせて復興特別所得税もかかります。
2.4 公的年金から天引きされるもの4:住民税
住民税には「所得割」と「均等割」があります。所得割は所得に応じて異なり、所得に対して基本的に10%を乗じます。均等割は基本的に5000円です。
年金額から公的年金等控除額110万円、基礎控除43万円、社会保険料(介護保険・国民健康保険または後期高齢者医療保険)、その他の控除を差し引いた金額に対して所得割10%+均等割5000円の合計額が天引きされます。
所得=(192万円-110万円)-43万円-17万円=22万円
所得割:22万円×10%=2万2000円、均等割:5000円となり、住民税の合計は2万7000円になります。
3. 厚生年金「月額16万円」の手取り額は?
年金月額16万円の場合、天引きされる税金・社会保険料は年間で約20万5500円、ひと月あたり約1万7125円でした。月額16万円でも各種天引きされ、手取り額は約14万3000円程度となります。
マネープランを立てる際には手取り額をもとに考えなければ、毎月約1万7000円、年間約20万円の誤差が生じてしまいます。65歳から90歳までの25年間では約500万円の誤差です。
年金収入だけで不足する分は貯蓄を取り崩すことになると思われます。天引き後の手取り額を考慮せずに目標額を設定して貯蓄をしていくと、想定よりも早い段階で貯蓄が底をついてしまうことになりかねません。
ご自身の将来の年金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でおおまかな金額を把握することになりますが、ここに記載される金額についても「天引き」は考慮されていませんので注意しましょう。
4. 年金の仕組みを理解して正しいマネープランを。
本記事では公的年金の仕組みをおさらいし、年金から天引きされるものについて確認してきました。
現役時代の給与や賞与から天引きされるものと同じように、税金や保険料など決して低くはない金額が天引きされます。
「額面」はあくまで参考程度にとどめ、「手取り額」をもとにマネープランを立てなければ、老後、早い段階で貯蓄がなくなってしまいます。
年金の仕組みは少し複雑ですが、正しく理解しておくことで、有効なマネープランに基づいた老後資産を準備することができるでしょう。
参考資料
和田 直子