2023年度の年金額は、国民年金が満額で6万6250円(月額)、厚生年金はモデル世帯で22万4482円です。モデル世帯は、厚生年金と国民年金の夫婦です。

厚生年金に加入して、年収526万8000円で40年間就業した場合に、扶養する配偶者の国民年金分と合わせて受給する夫婦2人分の年金額が、ひと月あたり22万4480円ということになります。

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出所:日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」

出所:日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」

ここから配偶者の国民年金分を差し引いた金額「15万8230円」が、厚生年金ということになります。(※配偶者が満額の国民年金を受給する場合)

年収530万円前後の会社員や公務員の方は、「ひと月16万円くらいもらえる」ことになるわけですが、税金や社会保険料が天引きされ、実際の手取り額は減ってしまうことを考慮しておきましょう。

本記事では、年金制度の仕組みをおさらいした後に、年金から天引きされるものについて解説していきます。マネープランを立てる際には、年金収入を「額面」ではなく「手取り額」で想定する必要があるので、参考にしてください。

1. 日本の公的年金制度について確認

最初に、日本の公的年金制度について簡単におさらいをしておきましょう。

日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。

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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

1.1 国民年金(1階部分)

国民年金は、年金制度の基礎の部分となります。日本に住む20歳から60歳未満の全ての人に加入義務があります。

公務員や厚生年金適用事業所である企業に勤めて厚生年金に加入しない限り、国民年金保険料を納めていかなければいけません。

保険料は年収や収入に関わらず、一律となっており毎年見直しが行われています。ちなみに2023年度の国民年金保険料はひと月あたり1万6520円です。

20歳から60歳になるまでの40年間(480カ月)、全ての保険料を納めた場合に、満額の国民年金を受け取ることができます。

未納があった場合には、満額から未納期間分が差し引かれるため、うっかり漏れてしまわないよう注意しましょう。

1.2 厚生年金(2階部分)

厚生年金は、公務員や厚生年金適用事業所に一定時間勤務する方が対象となります。厚生年金は国民年金の上に位置する制度です。

「国民年金と厚生年金」の両方の制度に加入することになり、老後は国民年金部分を含む厚生年金を受け取ります。

厚生年金の保険料は、加入期間中の給与や賞与に所定の適用率を乗じて決定します。保険料は加入者と企業側で折半です。

保険料の半分が給与や賞与から天引きされます。上限はありますが、年収が高いほど保険料が高くなり、将来の年金額も高くなる仕組みです。

2. 公的年金から天引きされるもの

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NadiaCruzova/istockphoto.com

NadiaCruzova/istockphoto.com

冒頭で触れたとおり、年収530万円前後で40年間就業した場合の厚生年金受給額は「月額16万円」程度になります。しかし、ここから税金や社会保険料が天引きされ、手取り額は14万円程度になります。

※その他、控除されるものがあるかどうかで個人差があります。

では、公的年金から天引きされるものとはどんなものか。見ていきましょう。

2.1 公的年金から天引きされるもの1:介護保険料

介護保険料は、年金を受給していても納めなければいけません。

保険料は所得と住んでいる地域によって異なります。年金収入が月額16万円(年額192万円)であれば、介護保険料はひと月6000円〜9000円程度になるでしょう。

自治体によって保険料額が大きく異なるため、お住まいの地域の保険料を確認しておきましょう。

2.2 公的年金から天引きされるもの2:国民健康保険料(75歳以上:後期高齢者医療保険料)

65歳以上75歳未満の場合は「国民健康保険料」、75歳以上からは「後期高齢者医療保険料」が天引きされます。

こちらも住んでいる地域によって保険料が異なります。年金収入が月額16万円(年額192万円)であれば、保険料はひと月8000円程度になるでしょう。

お住まいの地域の保険料を確認しておきましょう。

2.3 公的年金から天引きされるもの3:所得税

年金は「雑所得」に区分され所得税の対象となります。

年金額から公的年金等控除額110万円、基礎控除48万円、社会保険料(介護保険・国民健康保険または後期高齢者医療保険)、その他の控除を差し引いた金額に対して約5%の所得税が天引きされます。

年金収入が月額16万円(年額192万円)、社会保険料の合計が年間で17万円の場合

所得=(192万円-110万円)-48万円-17万円=17万円

所得税:17万円×5%=8500円となります。※あわせて復興特別所得税もかかります。

2.4 公的年金から天引きされるもの4:住民税

住民税には「所得割」と「均等割」があります。所得割は所得に応じて異なり、所得に対して基本的に10%を乗じます。均等割は基本的に5000円です。

年金額から公的年金等控除額110万円、基礎控除43万円、社会保険料(介護保険・国民健康保険または後期高齢者医療保険)、その他の控除を差し引いた金額に対して所得割10%+均等割5000円の合計額が天引きされます。

所得=(192万円-110万円)-43万円-17万円=22万円

所得割:22万円×10%=2万2000円、均等割:5000円となり、住民税の合計は2万7000円になります。

3. 厚生年金「月額16万円」の手取り額は?

年金月額16万円の場合、天引きされる税金・社会保険料は年間で約20万5500円、ひと月あたり約1万7125円でした。月額16万円でも各種天引きされ、手取り額は約14万3000円程度となります。

マネープランを立てる際には手取り額をもとに考えなければ、毎月約1万7000円、年間約20万円の誤差が生じてしまいます。65歳から90歳までの25年間では約500万円の誤差です。

年金収入だけで不足する分は貯蓄を取り崩すことになると思われます。天引き後の手取り額を考慮せずに目標額を設定して貯蓄をしていくと、想定よりも早い段階で貯蓄が底をついてしまうことになりかねません。

ご自身の将来の年金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でおおまかな金額を把握することになりますが、ここに記載される金額についても「天引き」は考慮されていませんので注意しましょう。

4. 年金の仕組みを理解して正しいマネープランを。

本記事では公的年金の仕組みをおさらいし、年金から天引きされるものについて確認してきました。

現役時代の給与や賞与から天引きされるものと同じように、税金や保険料など決して低くはない金額が天引きされます。

「額面」はあくまで参考程度にとどめ、「手取り額」をもとにマネープランを立てなければ、老後、早い段階で貯蓄がなくなってしまいます。

年金の仕組みは少し複雑ですが、正しく理解しておくことで、有効なマネープランに基づいた老後資産を準備することができるでしょう。

参考資料

和田 直子