ピアノの老舗メーカーKAWAIがオルゴールとコラボした弾けるオルゴール「グランゴール」。「世界に1台だけのアコースティック楽器」として話題になりましたが、今回実際に体験することができました。その弾き心地は実に楽しいものでした。打鍵した後、減衰していく軽やかな音色はピアノの元となったチェンバロやハープシコードのよう。音大でピアノを専攻した私もかなり好印象でした。
オルゴールを弾くという未知の体験
このグランゴールは様々な楽曲を自動演奏してくれるハイテクオルゴールPrimotone(プリモトーン)を作ったエクシング社とピアノの老舗KAWAIのコラボレーションで生まれた製品。
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内部には数十万円するPrimotoneの本体が2つ内蔵され、櫛を弾く機構以外は全てアコースティックな状態で音色を楽しむことができます。
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弾かれた櫛の響きはアンプなどで電気的に増幅されることなく、本体と共鳴板で自然に増幅される仕組み。大型のオルゴールを自分で演奏する、というこれまでなかった体験です。
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簡単にできそうですが、この仕組みの実現は容易ではありません。どの鍵盤が打鍵されたかのMIDIデータを受けたオルゴール本体が瞬時に爪を出して櫛を弾く仕組みは複雑で、かなりの開発費と技術力の賜物と言えるでしょう。
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ピアノの原型のような電子楽器
打鍵したあと減衰していくのは現代のピアノと変わりませんが、音量はどちらかというとピアノの原型になったハープシコードやチェンバロと似ています。
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出所:Adobe Stock - Adam
ピアノの場合は強く打鍵するとかなり大きな音が鳴りますが、グランゴールはそこまで大きくありません。どちらかというと室内楽のような小規模な演奏で威力を発揮しそうです。
ピアノが弦を叩いて鳴らすのに対して、チェンバロ、ハープシコードは引っ掻くように弾いて鳴らします。オルゴールも櫛を弾くので似た感覚になるのかもしれません。
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グランゴールが面白いのは2機の本体の反応を微妙にずらして倍音のように使うことができる点。こうすることで電気的に音を変えずにナチュラルな音色変化をつけられます。
個人的には古典の中でもバッハのちょっと複雑な楽曲は音をずらして弾くと華やかでピッタリな気がしました。逆にモーツァルトのスローな曲はずらさずに演奏することによってクリアで癒される雰囲気を出すことができます。
もっと大きい櫛でも弾いてみたい
ピアノは通常88鍵盤ですが、この全てを鳴らすことはできません。櫛の音域に制約があるためです。発音できる鍵盤には印があり、この中で演奏することになります。
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ピアノ曲をそのまま弾くと途中で鍵盤が足りなくなるので専用に編曲が必要です。これを体験すると心臓部に使っているPrimotoneの凄さがわかってきます。
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Primotoneでは様々な楽曲の演奏ができるようメモリーカードにポップスからクラシックまで曲が収録されています。この全てが1つの櫛で演奏できるよう編曲されています。
この最適に編曲するという作業は実際かなり難しいのですが、そこはエクシング社の強み。これまでカラオケのJOYSOUND(実はエクシング社が作っています)で培ったMIDIデータを作るノウハウで最適な楽曲データを作っています。
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さらにこの櫛では528Hzという癒しの音が出るようになっていて、MIDIデータでは意図的にその音を多く演奏するような工夫もされています。Primotoneは一番安価なものでも30万円弱と高額ですが、弾いてみたことで改めて欲しくなってしまいました。
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出所:Primotone公式サイト
自ら弾いて自身が癒されるというちょっと斬新な体験ができて非常に面白かったです。弾かせていただいたグランゴールは試作品ということでまだ市販の予定はないそう。少し残念ですがピアノ弾きとしては自分でオルゴールを演奏して子供を寝かしつけよう、なんて夢が広がりました。
参考資料
木村 ヒデノリ