10月19日は「ブラックマンデー」からちょうど30年

本日、10月19日は、世界の金融史で絶対に忘れることができない重要な日です。今からちょうど30年前の1987年10月19日、米国NY市場で株価が空前絶後の暴落となりました。いわゆる「ブラックマンデー(Black Monday)」です。

この日、たった1日における下落率▲22.6%は、今も破られていない“不滅の大記録”となっています。

当時はまだ物心ついていなかった人も多いと思われますし、それどころか、まだ生まれていなかった人も少なくないはずです。改めて、そのブラックマンデーを振り返ってみましょう。

1987年10月19日(月)、NY市場で起きた歴史的な株価大暴落

1987年10月19日、いつも通りのごく普通の週末が終わり、ごく普通の週明けを迎えていました。しかし、NY市場が開くと幅広い大量の売り注文が殺到し、全く値が付かない状況となります。そして、寄り付いた後も“売りが売りを呼ぶ”状況となり、史上最大の暴落を記録しました。

この日のNYダウの終値は、前週末比▲507.9ドル安の1,738.7ドル。下落率は▲22.6%となり、それまでの暴落記録を大幅に更新したのです。

1日の下落率では今でも破られていない不滅の大記録

ちなみに、現在までの1日におけるNYダウ下落率トップ5は(小数点第2位切り捨て、以下同)、

  • 第1位:1987年10月19日 ▲22.6%
  • 第2位:1929年10月28日 ▲13.4%
  • 第3位:1929年10月29日 ▲11.7%
  • 第4位:1931年10月  5日 ▲10.7%
  • 第5位:1929年11月  6日 ▲  9.9%

となっています。

注)下落率は前日終値と当日終値の比較。下落幅も同様。

第2次世界大戦の発端ともなった1929年の世界大恐慌は、10月に起きた一連の株価暴落から始まったと言われています。実際、この記録を見ても、1929年10月の株価暴落が凄まじかったことが分かります。

しかし、ブラックマンデーはそれを遥かに上回る暴落でした。投資家や証券会社・銀行など市場関係者はもちろん、一般の人々も大パニックに陥った歴史的な暗黒の日だったと言えましょう。

なお、ご参考までに、現在までの1日におけるNYダウ下落幅トップ5も掲載しておきましょう。

  • 第1位:2008年  9月29日 ▲777.6ドル
  • 第2位:2008年10月15日 ▲733.0ドル
  • 第3位:2001年  9月17日 ▲684.8ドル
  • 第4位:2008年12月  1日 ▲679.9ドル
  • 第5位:2008年10月  9日 ▲678.9ドル

下落幅では、そのほとんどがリーマンショック時の記録となっています。確かに、1日の下落率では最大でも▲7%程度でしたが、それでも、リーマンショック時の株価暴落の凄まじさを十分に表しています。

世界に波及した株価大暴落、日本も大パニックに

さて、ブラックマンデーの株価暴落は世界に波及しました。日本も例外ではなく、翌日(10月20日)の東京市場は大暴落となりました。

この日の日経平均株価の下落率▲14.9%は、NYダウと同様に、今でも史上第1位の記録として残っています。そして、日本だけでなく、世界中の金融市場を大混乱に陥れました。

ちなみに、あくまでも仮定の話になりますが、現在のNYダウがブラックマンデーと同じ下落率になると、1日で約▲5,200ドルの下落、日経平均株価の場合は▲3,200円の下落となります。常識的に考えれば、このような暴落は起こり得ませんが、それが起きてしまったのが30年前のブラックマンデーだったのです。

ブラックマンデーを引き起こした理由は現在でも不明

そして、ブラックマンデーに関して最も重要なことは、その大暴落を引き起こした理由がいまだに不明であることです。

確かに、今となっては、米国の「双子の赤字」に対する懸念、FRB金融政策の不透明さ、ドル高に対する不安などが背景とされていますが、ハッキリ言って、後付けの理由(こじつけ)に過ぎません。

これらの懸念材料は、ブラックマンデーの随分前から言われており、しかも、当時は“過度な懸念は不要”という類の見方が大半だったようです。まさしく、ブラックマンデーは何の前触れもなく、突然起きたのです。

実は、1929年10月の株価大暴落も、始まり(10月24日のブラックサースデー)は、ある日突然に起きたものでした。

不思議なことにNY発の株価暴落は10月が多い

ブラックマンデーから30年が経ちました。しかし、この間もブラックマンデーほどではないにせよ、株価暴落は度々起きています。ちょうど9年前のリーマンショックがそうでしたし、湾岸戦争や9.11テロ事件後にも暴落と呼べる状況が起きました。

逆に言うと、こうした株価暴落はいつ起きても不思議ではないのです。これは十分過ぎるくらいに留意しておくべきでしょう。

最後に、前掲したNYダウ下落記録を見ると、10月の日付が多いことが分かります。少し広く見ても、その多くが「秋」に起きています。先週から急に寒くなってきた10月19日、これは単なる偶然だと願わずにはいられません。

LIMO編集部