厚生年金と国民年金は老後に受給できる年金ですが、受給するには一定の受給要件を満たす必要があることをご存じでしょうか。
受給開始年齢になると誰でも無条件に受給できるというわけではなく、決められた条件を満たしている必要があるのです。
受給開始年齢になってから慌てることのないように、国民年金と厚生年金の受給要件についてしっかりと理解しておきましょう。
また、老齢年金をあまりもらえない場合に役立つ老後対策もご紹介しますので、老後資金の準備にお役立てください。
1. 国民年金(老齢基礎年金)の受給要件
国民年金(老齢基礎年金)は、自営業や個人事業主、専業主婦などが老後に受け取る年金です。
国民年金を受給するためには、受給資格期間が10年以上あることと、原則として65歳以上であることの2つの受給要件を満たす必要があります。
1.1 受給要件1.受給資格期間が10年以上ある
国民年金を受給するためには、受給資格期間が10年以上あることが条件です。受給資格期間には「保険料を納付した期間」だけでなく、「保険料の免除を受けた期間」や年金額には反映されない「合算対象期間」なども含まれます。
なお、平成29年7月31日までは25年以上の受給資格期間が必要でしたが、平成29年8月1日からは法改正により10年に短縮されています。
1.2 受給要件2.原則として65歳以上である
国民年金は、原則として65歳から受給開始となります。なお、65歳以降に受給資格期間の10年を満たした場合は、受給資格期間を満たしたときから国民年金を受給することが可能です。
また、国民年金では「繰上げ受給」と「繰下げ受給」を選択することもできます。「繰上げ受給」は、60歳から65歳までの間に繰上げ受給する年金で、早期受給が可能な反面、年金額は減額されます。
一方、「繰下げ受給」は66歳から75歳(※)までの間に繰下げて受給する年金で、受給開始時期は遅くなりますが、増額された年金を受給できます。
※昭和27年4月1日以前生まれの方や平成29年3月31日以前に老齢基礎・厚生年金の受給権が発生している方は70歳が上限