「人生100年時代」の現代において、一口に「老後」といっても人によっては30年、40年とあり、なかなか老後生活のイメージはつきにくいと思います。
しかし、いざ老後になってから年金や貯蓄のことに悩んでも対処するのが難しいところもあるでしょう。
では、現代の高齢者はどれくらい貯蓄を保有し、年間収入があるのでしょうか。今回は70歳代以上に視点をあてて、厚生労働省「令和5年版高齢社会白書」を確認しながら、老後資金対策を考えます。
1. 70歳代以上「平均貯蓄額」は2000万円を超えるか
まずは厚生労働省「令和5年版高齢社会白書」より、年代別の貯蓄額を見てみましょう。
1.1 年代別「平均貯蓄額」
- ~29歳:414万円
- 30~39歳:774万円
- 40~49歳:1134万円
- 50~59歳:1846万円
- 60~69歳:2537万円
- 70歳~:2318万円
一時期「老後2000万円問題」が話題となりましたが、貯蓄額をみると40歳代は1000万円を超えており、50歳代は1846万円、60歳代以上になると2000万円以上となりました。
ただし、平均は一部の富裕層に左右されやすくなっています。
たとえば金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上上世帯調査](令和4年)」によれば、70歳代の貯蓄は以下のとおりです。
1.2 70歳代・二人以上世帯の貯蓄(平均と中央値)
- 平均:1905万円
- 中央値:800万円
上記を見て分かる通り、平均と中央値では1000万円以上の差があります。貯蓄分布を見ても、3000万円以上の世帯と貯蓄ゼロ世帯が約2割ずつとなっており、個人差が大きいとわかります。