6月15日に、2023年度分の最初の厚生年金と国民年金が支給されました。
昨今の日本では物価上昇が激しく、現役世代も家計が苦しく感じる方が多いでしょう。
こうした中、物価上昇までは追いつけないものの、2023年度の年金は3年ぶりに引き上げられました。
標準的な夫婦のモデル年金から算出すると、8月15日に振り込まれる夫婦の合計年金は約45万円にものぼります。
一見「高額」に思える受給額ですが、必ずしも「羨ましい」と言い切れない理由があるのです。
年金支給日や支給額についてくわしく見ていきましょう。
1. 厚生年金と国民年金の基本的なしくみ
日本の年金制度は、図のように「厚生年金と国民年金」が2階建て構造となっています。
1.1 国民年金(1階部分)
原則として、日本に住む20歳から60歳未満の方は全員国民年金(基礎年金)に加入します。保険料は一律で、年度ごとに改定されます。
年金額(老齢基礎年金)も毎年改定されますが、40年間保険料を納付すれば満額が受け取れます。2023年度の満額は月額6万6250円(67歳以下の場合)と決定されました。
1.2 厚生年金(2階部分)
国民年金の上乗せとして、主に会社員や公務員などの「第2号被保険者」は厚生年金年金にも加入します。
保険料は報酬比例制なので、たくさん稼いだ方や長く働いた方が、多くの老齢厚生年金を受け取れる仕組みです。
納めた保険料や加入期間で受給額が決まるため、個人間の差が激しいという点を踏まえて、2023年度の「標準夫婦」の厚生年金額を見ていきましょう。
2. 「国民年金と厚生年金」2023年度は標準夫婦でいくらか
厚生労働省によると、2023年度の年金額の例は次のとおりとなります。
- 国民年金(老齢基礎年金):6万6250円(1人分)※1
- 厚生年金:22万4482円(夫婦2人分)
※1 2023年度の既裁定者(68 歳以上の方)の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万6050円(対前年度比+1234 円)
国民年金と厚生年金ともに、2022年度よりそれぞれ増額になっていることがわかります。
厚生年金の金額を見てみると、「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」との注釈があります。
厚生労働省の公表によると、上記の夫婦形態を「標準的な夫婦」のモデルケースとし、2023年度の年金額は月額22万4482円(夫婦2人分)を目安としているようです。