3. 年金「約45万円」が8月15日に支給される夫婦とは

冒頭にて、8月15日に振り込まれる標準的な夫婦の合計年金は約45万円であるとお伝えしました。

年金支給日は偶数月の15日(土日祝日の前は直前の営業日)であるため、8月15日には6月、7月の2ヶ月分が振り込まれます。

つまり、22万4482円×2=約45万円が振り込まれるのです。

こちらの年金は「夫婦2人分」「2ヶ月分」である点に注意しましょう。

さらに、年金からは税金や保険料が天引きされます。実際に振り込まれる金額はもっと少なくなる点に注意が必要です。

実際の振込額は、6月に送付される年金振込通知書で確認できます。

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

「振り込まれる年金が夫婦合計で約45万円」と聞くとうらやましく思えますが、あくまでも2ヶ月分の年金であるため、月額あたりにすると余裕のある水準とも言い切れません。

4. 厚生年金と国民年金の実際の支給額は

6月15日支給分から年金は増額となりましたが、それでも年金だけで生活できるシニアは少数派です。

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(老齢基礎年金を含む)の支給額平均は月額で14万3965円でした。男性が16万3380円、女性が10万4686円です。

また国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は5万6368円。男性が5万9013円、女性が5万4346円でした。

厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%」の世帯はたった24.9%です。

つまり残りの75.1%は、稼働所得や財産所得、仕送りや個人年金などで補填しています。

1回あたりの年金額は高額に思えますが、実際には年金だけで暮らすことは難しいようです。

さらに重要なのは、平均額が全員にあてはまるわけではないことです。それぞれの働き方や保険料の納付実績によって年金額が大きく異なるため、ねんきん定期便やねんきんネットなどでしっかり目安額を把握するようにしましょう。

5. 老後の対策を考える

年金の見込額を知って「少ない・足りない」と感じた場合は、早急に対策を始めましょう。

老後対策とは、何も貯金を増やすだけではありません。

  • 働き続けるためにスキルを磨く
  • 健康を維持するために健診を受け続ける
  • 老後も資産運用を活用し、資産が減るスピードをゆるやかにする
  • 厚生年金の加入期間を伸ばして年金額をあげる
  • 不動産収入などの不労所得を得る
  • iDeCoや個人年金保険などで独自の年金を作る

など、対策方法は多岐に渡ります。組み合わせることでデメリットをカバーする効果もあるでしょう。

ただし、どれが自分にあっているかは個々の状況によって異なります。

まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子