個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)は節税メリットが大きく、そのお得感から注目を集めています。一方で、興味があってもなかなか最初の一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。今回はiDeCoを始めるにあたって注意したいポイントをまとめました。

金融機関の選び方:手数料で損をしないために

「手数料の安い金融機関を選ぼう!」―こうした情報をあちこちで見かけます。なかでも「口座管理手数料」と「投資信託の信託報酬」の2つはしっかりチェックしたいポイントです。

まず、口座管理手数料です。iDeCo 口座を開設し、掛け金を積み立てていくときには①国民年金基金連合会に支払う手数料(年間1,236円)、②事務委託先金融機関手数料(年間768円)③金融機関の運営管理手数料、という3つの手数料がかかります。

このうち①と②はどの金融機関で口座を開設しても必要です。これに加えてiDeCo口座を開く金融機関に対して③の運営管理手数料を支払いますが、この手数料は無料のところもあれば月々数百円かかるところもあり、金融機関によって大きく異なるのです。これが、口座管理手数料をチェックしておきたい理由です。

また、金融機関選びでは、運用する商品のラインナップもポイントになります。元本確保型の定期預金だけで積み立てていくと、現在の利率では手数料を上回るだけのリターンを得ることは難しいため、投資信託と組み合わせての運用を検討する人も多いと思います。ここで注意したいのは、投資信託の信託報酬です(運用管理費用と表示されている場合もあります)。

信託報酬は、投資信託の運用や管理に対する手数料で、投資信託を保有している間、ずっと払い続けなければなりません。信託報酬の差は運用期間が長くなればなるほど大きくなり、運用成果にも影響を与えます。そう考えた場合、できるだけ信託報酬が低い投資信託が多くラインナップされている金融機関を選ぶことも一つの大きなポイントになってくるのです。

掛け金の設定:途中で引き出せないのが心配。もし苦しくなったら?

iDeCoは老後に向けた資産形成を行うための制度です。だからこそ税制優遇もされています。老後の資産形成が目的ですので、原則として60歳まで引き出すことはできません。

掛け金をいくらにするか検討する場合、iDeCoの節税メリットを最大限に生かす、あるいは掛け金に対する手数料の割合を下げるという意味では、それぞれの加入者区分に応じた限度額いっぱいまで掛け金を拠出するのが最も効果的です。ただし、iDeCoでは掛け金の前納、追納が認められていません。また、60歳に至るまでにはさまざまなライフイベントがあるでしょうから、その人生設計に必要なお金まで拠出してしまって引き出せないとなれば大変です。

ポイントは、60歳まで引き出せないことやその間におけるライフステージの変化も考えたうえで、あくまでも「老後のためのお金」と割り切って、無理のない範囲で積み立てていくことです。そうすれば、半ば強制力を持って60歳まで積立と運用ができるこの制度はメリットのほうが多いといえるでしょう。

それでも継続するのが難しくなれば、まず掛け金の金額変更を検討しましょう。掛け金の変更は、毎年4月から翌年3月の間で年1回可能です。また「加入者資格喪失届」を提出して掛け金の拠出を停止し「運用指図者」として運用のみを行うことも可能です。ただし、運用指図者となっても先ほど金融機関のところで見た②と③の手数料はかかりますので、その点も注意したいところです。

まとめ

いかがでしたか? 時間が大きな味方になってくれるのが積立です。注意点はしっかりと念頭に置きながらも、メリットの多いiDeCoを活用しての資産形成を検討してみるのはいかがでしょうか。

 

>>楽天証券のiDeCoについて詳しくみる(初心者でも厳選ファンドから選びやすい)

>>SBI証券のiDeCoについて詳しくみる(品揃え抜群。選べるファンドが多い)

LIMO編集部