この1年間で株価が2倍に
ラウンドワン(4680)の株価が好調です。2017年10月11日時点で同社の株価は過去1年間で112%上昇(この間の日経平均株価は+24%上昇)、過去2年間では173%上昇(同+14%上昇)と、いずれも日経平均のパフォーマンスを大幅に上回っています。
“ラウワン”ともよばれる同社は、ボウリング(2017年3月期の売上高構成比26%)、アミューズメント(同46%)、カラオケ(同10%)、時間制スポーツ施設・スポッチャ(同15%)などの複合アミューズメント事業を手掛ける東証1部企業です。
本社は大阪府堺市にありますが、北海道から沖縄まで全国で107店舗を運営しており、2017年3月期の総来場者数は4,828万人となっています。また、2011年からアメリカにも進出しており、現時点で15店舗が運営されています。
ボウリングは依然として国民的なスポーツ?
様々なアミューズメント事業を展開している同社ですが、1980年の創業当時からの主力はボウリング事業です。
では、ボウリングについて皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。日本におけるボウリング場の本格的な普及は1960年代からで、ピークの1972年には全国で約3,700か所に達しました。ただし、その後は減少傾向が続き、現在では約900か所にまで減っています。
そのため、昔の全盛期をご存じの方には、廃れてしまったスポーツというイメージがあるかもしれません。
とはいえ、総務省の『平成28年社会生活基本調査』によると、過去1年間で行ったスポーツのうち「ボウリング」の参加率は12.7%で、トップの「ウォーキング・軽い体操」(参加率41.3%)や2番目の「器具を使ったトレーニング」(同14.7%)に続く参加率が高いスポーツとなっています。
ちなみに、ジョギングは12.1%、水泳は11%、登山・ハイキングは10%、ゴルフ(練習場を含む)は7.9%です。このことから、ボウリングは「廃れている」どころか、むしろ数字上は、国民に比較的人気がある身近なスポーツということになります。
ただし、ボウリングの参加率を年齢別で見ると、以下に示すように“若者世代に偏っている”という点には注意が必要です。
20~24歳:33.6%、25~29歳:23.3%
30~34歳:16.1%、35~39歳:16.9%
40~44歳:15.5%、45~49歳:12.8%
50~54歳: 9.7%、 55~59歳: 7.2%
ちなみに、ゴルフの場合は以下のようになっています。
20~24歳:6.5%、25~29歳: 9.2%
30~34歳:9.1%、35~39歳: 8.3%
40~44歳:8.4%、45~49歳: 9.9%
50~54歳:10.9%、55~59歳:10.9%
このように、ボウリングとゴルフの年齢別の参加率を比較すると、いかにボウリングが20代の若者世代に偏っているかがわかります。年齢層の高い方が「ボウリングは国民的なスポーツというのは、どうも自分の実感とは異なる」と感じても無理はないかもしれません。
足元の業績は好調
話をラウンドワンに戻すと、足元の業績は好調です。8月8日に発表された2018年3月期第1四半期決算は、売上高が対前年同期比+5%増、営業利益が同+54%増の増収増益となっています。
「大人1名に対して小学生1名無料キャンペーン」や「1,000円キャッシュバックイベント」の実施、最新のゲーム機種やアイテムの導入を積極的に行って売上を伸ばしたことで、広告費などの費用増をカバーし増益を確保しています。
また、10月5日に発表された9月の月次売上高(速報)は、全社で前年同期比+5.9%増、既存店で+6.8%増と好調が続いています。2017年3月期の決算では「アルバイト代の時給上昇で、若い世代の所得が上昇したことが好調の一因」と会社側は説明していましたが、この傾向は足元でも継続しているようです。
今後の注目点
上述のように、ボウリングが若者世代に偏っているというのは、見方を変えれば若者世代以外にもすそ野を広げるチャンスが残っているということでもあります。このため、老若男女、家族そろって楽しめるような取り組みが一段と加速していくかをまずは注目したいと思います。
また、政府が進めている「働き方改革」による勤労者の余暇時間増加の恩恵を受けられるのか、アメリカでの事業拡大が順調に進展していくかなどについても注視していきたいと思います。
LIMO編集部