円安は、 国内物価の上昇や株価の値動きに大きな影響を与えるとされています。

そんな円安にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?また円安時代における資産運用はどのようにすべきなのでしょうか?

今回は円安についてわかりやすく解説するとともに、円安における投資のコツやおすすめの金融商品を紹介します。

この記事を読んで分かること

  • 円安のメリット・デメリット
  • 初心者におすすめの資産運用
  • 円安時の投資信託の値動きはどうなるか

円安とは?どういう時に円安になる?

円安とは、他国の通貨に対して、円の価値が低下することです。たとえば、ある時の為替レートが1ドル=100円であったとします。この場合1ドルの商品は100円で買えます。数日後に1ドル=120円になると、1ドルの商品を買うのには120円出さないと買えなくなります。つまりドルに対して円が安くなったので、これを「円安」といいます。

出所:MeChoice編集部

円安になると、海外の商品を買う時により多くの円を支払う必要があるので、輸入品が高くなります。一方で、日本の輸出品は海外で安く買うことができるので、競争力が上がり利益を出しやすくなります。

円安になる理由は、ドルが買われ、円が売られることで円安になります。これは日本と他国の金融政策や経済情勢が影響します。

現在の円安基調はアメリカと日本の金利差が主な原因とされています。アメリカはインフレ状態が続いており、金利も緩やかに上がり続けています。

一方、日本はデフレ対策のために金融緩和を続け、低金利が続いています。金利が高ければ、その通貨を持つことで資産を増やすことができるので、アメリカドルが買われて「円安」が進むことになります。

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円安のメリット・デメリット

円安のメリットとデメリットをみてみましょう。

<メリット>

  • 輸出する製品の価格を安く設定できる
  • 輸出企業が海外で稼いだ外貨をより多く円に換えられる(収益が増える)
  • 海外からの観光客が増える
  • 海外資産の価値が上がる

<デメリット>

  • 海外の商品やサービスが高くなる
  • 輸入コストが上がることでエネルギー資源や食材などが高くなる
  • 海外旅行が割高になる

具体的にどんな人・産業が円安で得するのか、あるいは損するのかを表にまとめてみました。

<円安で得をする場合>

輸出企業は、海外での価格を低く設定できるため、競争力が増し、利益を出しやすくなります。また、稼いだ外貨を円に換える時、より多くの円に換えることができます。

外国人観光客は、両替でより多くの円を手にすることができるため、日本でお得に観光することができます。

海外資産を保有していれば、資産の価値が円換算で上がります。

<円安で損をする場合>

輸入企業は、原材料や部品などの仕入れ価格が高くなるため、利益が減ります。

日本はエネルギー資源や食材などの多くを輸入に頼っているため、これらが値上がりすることで、家計が圧迫されます。

日本から海外旅行に行く場合、両替で少しのドルにしか換えられないため、海外旅行が割高になります。

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円安は投資におけるチャンス!初心者におすすめの資産運用5選!

円安のメリットで、海外資産を持っている人は得をするとお伝えしましたが、投資によって、海外資産を保有することができます。ここでは、投資初心者におすすめの“円安をチャンスにするための”資産運用を6つご紹介します。

投資はリスクを伴うため、場合によっては損失を被る可能性があります。投資リスクを十分考慮したうえで始めてみましょう。

1. 外貨建て投資信託に投資する

外貨建て投資信託とは、海外債券や海外株式などを投資対象として、外貨で取引されている投資信託のことです。そのため、基準価格や分配金は外貨で表示されます。米ドルや豪ドル建ての債券を中心に運用する外貨建てMMFも外貨建て投資信託のひとつです。

購入方法は外貨で購入する場合と円で購入する場合の2パターンがあり、円で購入する場合は、一度外貨に替えてから投資信託を購入するため、為替手数料が発生する場合があります。

外貨建てが有利なのは、日本の低金利に比べて、各通貨の高い金利が適用されるので利回りが高くなることに加えて、購入時よりも円安になると為替差益を得られることにあります。逆に購入時よりも円高になると為替差損が発生するので、為替変動リスクに留意する必要があります。

2. 外国株へ投資する

外国の株を買えば、海外資産を持つことになります。外国株は国内で購入できるものとできないものがあります。アメリカや中国などの株は取り扱っている証券会社が多いので、取引しやすいといえます。

外国株に投資するには、投資したい国の株を取り扱っている証券会社で口座を開設します。

その後、円貨決済か外貨決済を選びます。円貨決済は為替手数料が必要ですが、外貨を準備する必要がないので手間がかかりません。外貨決済は手元にドルを用意する必要がありますが、為替手数料を節約できます。

外国株に投資するメリットは、株価の損益と為替の損益の両方を得られる点です。株価が下がってしまっても、円安になっていれば、損失をやわらげることができます。また、外国株の代表である米国株は、ほとんどが1株単位で購入することができるので、少額から取引ができ、初心者でも始めやすいでしょう。

3. インバウンド関連企業&輸出関連企業に投資する

海外資産を持つことだけが円安で得する方法ではありません。円安のメリットでお伝えしたとおり、輸出企業は収益が上がりやすくなり、外国人観光客の増加によってインバウンド関連企業も恩恵を受けます。これらの企業に投資すれば、株価の上昇によって利益を得ることが望めます。

インバウンド関連企業としては、航空、鉄道、ホテル、旅行会社、家電量販店などがあります。今後、経済活動が正常化していくことで、コロナ禍で落ち込んだ株価の回復が期待できるかもしれません。

4. 外国債券へ投資する

外国債券とは、発行体・通貨・発行市場のどれかが日本以外の債券を外国債券といいます。一般的に株式よりも安定したリターンが見込めます。円建ての商品よりも高金利であることで利回りが期待でき、円安時には為替差益を得られます。

ただし、価格変動リスクや信用リスク、カントリーリスク、為替リスクなどの諸々のリスクがあることは知っておきましょう。

外国債券が買える証券会社で外国証券取引口座を開設することで、外国債券を購入することができます。外貨建ての債券を購入したい場合は、事前に為替取引などで外貨を準備して入金しておきましょう。

5. FXで外貨を運用する

円安時にFXで外貨を運用すると、為替差益を得られる可能性があります。たとえば、1ドル=100円で100ドルを購入し、1ドル=110円になったときに売却すると、手数料を考慮しなければ1000円の利益となります。

また、特定の通貨ペアの金利差によって得られる利益(スワップポイント)も期待できます。これは円のような低金利の通貨を売って、新興国などの高金利の通貨を買うと、金利差調整分として、スワップポイントと呼ばれる収益がその通貨を持ち続けている間毎日得られます。

ただし、FXは担保となる保証金の最大25倍の金額が取引できるレバレッジによって、大きな収益を得られる反面、大きな損失を被ることもあり、投資リスクが高くなります。他にも為替変動リスクや信用リスク、流動性リスクなどがあり、これらのリスクを十分に理解しておく必要があります。

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円安時の投資の注意点

円安の時にやりがちな投資の注意点を2つご紹介します。
これらは、投資の成功法則「長期」「積立」「分散」に反するため、避けた方がいいでしょう。
「長期」「積立」「分散」を忘れずに、リスクヘッジしながら長く続けることを心掛けましょう。

1. ドルやドル建ての資産ばかりを持たない

円安だからといって、資産のほとんどをドルやドル建てにしてしまうのは、賢い方法とはいえません。円安から円高に変わったときに資産を守れなくなります。ドルだけで持つということは、言わばドルへの集中投資であり、分散投資に反します。円や円建ての資産も一定割合保有してリスクヘッジすることが大事です。為替レートがどのように変化しても資産を守れるように、複数の通貨に分散して投資するようにしましょう。

2. 長期積立投資をやめない

円安や円高は株価にも大きな影響があります。そのため、円安時に、輸入企業の株を慌てて売ったり、輸出企業の株をたくさん買ったりするなど、短期売買を繰り返すと結果的に損をすることがあります。中には株価の変動に動揺して長期の積立投資を止めてしまうケースもあります。

長期で投資を続けていれば、短期的な損失はカバーできる可能性が高くなります。

金融資産は保有期間が長いほど、価格の動きは平準化されていく傾向があります。そのため、短期的にみると、大きな値動きをしても、長期的な視点ではその値動きはあまり影響しないようになるので、リスクコントロールがしやすくなります。

また、長期で積立投資を行えば、運用で得た収益を投資元本に加えて次の投資に回す「複利効果」によって、効率よく資産を増やすことが可能です。

出所:MeChoice編集部

さらに、ドルコスト平均法による恩恵も忘れてはならないでしょう。ドルコスト平均法は、時間を分散して一定の金額を定期的に買い続けることによって、価格変動のリスクを減らす手法です。価格が高い時は購入口数が少なくなり、価格が下がると購入口数は多くなるので、一口あたりの購入価格を下げることができます。

出所:MeChoice編集部

長期積立投資のメリットを知れば、短期の値動きに一喜一憂する必要がないことがわかるでしょう。

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円安時の投資信託の値動きはどうなる?

円安時の投資信託の値動きは、為替の変動の影響を回避する「為替ヘッジ」の有無や投資対象によって異なります。

円安になると、海外の株式や債券などに投資しているものの価格が上昇する可能性があります。日本の株式を投資対象としている場合でも、輸出企業に投資するものであれば価格上昇が期待できます。一方で、日本の株式おいて輸入企業を投資対象としている場合、業績悪化が懸念されるため下落する可能性があります。

為替ヘッジがない場合は、外貨建て投資信託は円安になると為替差益を直に受けられるため、基準価格が上昇する要因となります。為替ヘッジがある場合は、円安になっても基本的に影響はありませんが、ヘッジコストがかかります。

株の値動きは円安時にどうなる?

円安時の株の値動きは、株式市場の地域や企業によって異なります。日本における輸出企業は円安がプラスに働きます。

ドルでの販売価格が同じであったとしても円に換算すると多くなるため、利益が増加します。また、値下げにも対応できるため、価格競争で有利となり、売上増につながります。

一方、日本における輸入企業は円安がマイナスとなります。円安によって輸入コストが増え、利益が減ります。また、輸入商品の価格が高くなるため、売上が減る可能性もあります。

そのため、円安時には、輸出企業は株価が上昇、輸入企業は株価が下落する傾向があります。 

結局円安時に投資をしたら儲かるの?

円安になると、海外資産の価値が上がるため、外貨建ての金融資産を保有したり、投資先を海外にすることで、資産を増やすことが可能です。これは、円安時に投資をすると儲かるという意味ではなく、何にどのように投資するかがカギとなり、その結果、損をすることも得をすることもあります。

円安で得をするには、輸出企業やインバウンド関連企業に投資する、外国株や外国債券に投資する、外貨建て投資信託を買うなどの方法があります。

円安で損をするケースは、輸入企業の株や円建ての金融資産を持っている場合です。

ただし、これらの金融資産の価値は、為替変動の影響だけでなく、他の要因も影響するため、必ずしも円安と連動するわけではありません。あくまでも傾向として知っておくのがよいでしょう。

また、長期積立投資を行っていれば、円安・円高などの為替の変動はあまり気にする必要はないでしょう。長期投資はリスクを低減したり、複利効果を大きくできるなど、短期的には損が出てもカバーできる可能性が高い投資方法です。

円安時は海外資産を増やすなど、配分を見直す変更はあってもいいと思います。しかし、為替レートは日々変動しているため、頻繁に値動きを気にする必要はありません。それよりも、さまざまな局面に対応できる状況を、「長期」「積立」「分散」によって作っておくことが大切です。

参考資料

まとめ

  • 円安になると、海外資産の価値が上がる
  • 円安で得をするには、輸出企業やインバウンド関連企業に投資するなどの方法がある
  • 長期積立投資を行っていれば、円安・円高などの為替の変動はあまり気にする必要はない
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