2. 通期決算のポジティブな業績予想が一段の株価上昇要因か

4月末から5月にかけて発表された2022年度通期決算でも、業績回復の勢いが継続しました。

その上、両社とも2023年度(もしくは2024年度3月期)にさらなる増収増益を見込む強気な見通しが好感され、株価は一段高になっていると思われます。

また、JALは2022年度の期末配当から復配を達成し、さらに2023年度には40円/株までの増配を見込んでいます。

出所:日本航空株式会社「2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」

コロナ禍からの正常化が進む中で、この需要回復が合理的で、見通し達成の蓋然性が高いと評価されたと考えられます。

3. 【ANAとJAL】航空業界の事業上のリスクとは

ANA・JALなど航空業界のリスクは主に次のようなものが想定されます。

  • 疾病などの再拡大リスク
  • 世界情勢の変動
  • 原油などの市況悪化
  • 航空機購入におけるリスク

先般のコロナ禍のように、伝染病の蔓延などにより世界中でロックダウンが再開されれば、急激な需要減退に伴う業績悪化が懸念されます。

また、昨今のロシア・ウクライナのように、世界情勢の変化に伴い輸送需要が変化する可能性もあるでしょう。

そのほか航空機は多大な化石燃料を消費するため、原油価格の上昇が業績悪化の要因となります。間接的ではありますが、為替変動(たとえば円高により海外旅行客が減退するなど)が業績に影響を及ぼすリスクもあります。

最後に、航空会社は定期的に新しい設備を入れ替えてますが、航空機メーカーの開発遅れに伴う新機材の導入の遅れが業績の変動要因となる可能性もあるでしょう。

これらの要因が、JALやANAの業績変動や株価変動における主なリスク要因となります。