航空業界の二大大手であるANAホールディングス(9202)とJAL(日本航空・9201)は年初来、力強い株価の回復が続いています。

特に第3四半期以降にはJALは最終損益での黒字転換を実現するなど、コロナ禍からの需要回復が鮮明なものとなっており、株価上昇の原動力になっていると考えられます。

ANA HDと日本航空の株価推移:2022年12月30日~2023年6月15日1/3

ANA HDと日本航空の株価推移:2022年12月30日~2023年6月15日

出所:各種資料をもとに筆者作成

今回はANAとJALそれぞれの株価について見ていきましょう。

※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。

1. 【ANAとJAL】インバウンド需要の回復に伴い業績改善へ

ANAもJALも2023年度の第3四半期以降、急速な業績回復が見られます。

JALはコロナ禍で続いていた赤字において、第2四半期にEBITベースで黒字転換に成功し、第3四半期には純利益ベースでの黒字化に成功しました。

ANAについても前年度は第3四半期時点で1000億円を超える営業赤字を抱えていましたが、2022年度は989億円の黒字化に至っています。

貨物輸送こそ、半導体などの輸送需要の緩みによりANAは売上が減ったものの、両者とも国際旅客の水際対策の緩和や国内でのウィズコロナの定着を背景に大幅な回復が見られ、業績回復の原動力となりました。

今後も当面はインバウンド需要の回復が見込まれることから、株価も力強い上昇を示していると考えられます。

2. 通期決算のポジティブな業績予想が一段の株価上昇要因か

4月末から5月にかけて発表された2022年度通期決算でも、業績回復の勢いが継続しました。

その上、両社とも2023年度(もしくは2024年度3月期)にさらなる増収増益を見込む強気な見通しが好感され、株価は一段高になっていると思われます。

また、JALは2022年度の期末配当から復配を達成し、さらに2023年度には40円/株までの増配を見込んでいます。

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出所:日本航空株式会社「2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」

出所:日本航空株式会社「2023年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」

コロナ禍からの正常化が進む中で、この需要回復が合理的で、見通し達成の蓋然性が高いと評価されたと考えられます。

3. 【ANAとJAL】航空業界の事業上のリスクとは

ANA・JALなど航空業界のリスクは主に次のようなものが想定されます。

  • 疾病などの再拡大リスク
  • 世界情勢の変動
  • 原油などの市況悪化
  • 航空機購入におけるリスク

先般のコロナ禍のように、伝染病の蔓延などにより世界中でロックダウンが再開されれば、急激な需要減退に伴う業績悪化が懸念されます。

また、昨今のロシア・ウクライナのように、世界情勢の変化に伴い輸送需要が変化する可能性もあるでしょう。

そのほか航空機は多大な化石燃料を消費するため、原油価格の上昇が業績悪化の要因となります。間接的ではありますが、為替変動(たとえば円高により海外旅行客が減退するなど)が業績に影響を及ぼすリスクもあります。

最後に、航空会社は定期的に新しい設備を入れ替えてますが、航空機メーカーの開発遅れに伴う新機材の導入の遅れが業績の変動要因となる可能性もあるでしょう。

これらの要因が、JALやANAの業績変動や株価変動における主なリスク要因となります。

4. ANAとJALの配当金とは

ANAとJALはいずれもコロナ禍に入った2020年度以降は無配が続いていましたが、JALは2023年3月期分から復配が始まり、次年度は増配の見込みです。

JALとANAの配当金見込み3/3

JALとANAの配当金見込み

出所:日本航空株式会社「配当情報」ANAホールディングス「配当・株主優待情報」をもとに筆者作成

ANAは2023年6月15日時点では次年度の配当を未定としています。

5. ANAとJALの株主優待とは

最後に株主優待を確認しましょう。

ANAは国内搭乗の優待券が株主優待として付与されます。100株から受け取ることができ、保有株式数によって付与枚数は変わります。

また、ANAグループ各社・提携ホテル優待の冊子(ご優待クーポン 18枚)も受け取れます。

JALでは株主優待として国内線50%割引となる割引券と、JALパックツアー商品・JMBツアー商品が2~7%割引となる旅行商品割引券が付与されます。

付与される枚数は保有株式数によって異なり、100株以上から受け取ることが可能です。

参考資料 

宮野 茉莉子