老後に受給できる厚生年金は、働いていたときの年収や厚生年金保険への加入期間などにより決まるため、人それぞれ受給額が異なります。

国民年金は加入期間のみで受給額が決まるため、それほど金額が異なることはありませんが、厚生年金においては大きな差が生じているという事実があります。

というのも、男女それぞれの厚生年金額を比較すると、男性の方が女性よりも年間で約70万円多く受給しているのです。女性にとっては看過できないところでしょう。

そこでこの記事では、なぜ男女間でこのような差が生じているのか、その原因を解説するとともに、年金を増やすコツを3つご紹介していきます。

1.【厚生年金】男女で年間約70万円も差がある

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は約14万6000円です。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

しかし、この金額は男女合計の平均額であり、男女別の平均受給額(65歳以上)を比較すると男性の平均受給額が約16万9000円、女性の平均受給額が約10万9000円となっており、月額約6万円の差が生じているのです。

年額に換算すると約70万円もの差があることになります。

近年、老後をおひとりさまで過ごす方の割合が増えており、老後の生活費を自分でまかなうことになる方が多くなっています。

総務省の「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、老後のおひとりさま世帯の生活費は平均約14万3000円かかっているというデータがあり、男性は年金だけでカバーすることができても女性は年金のみでは生活費が赤字になる可能性があります。

2. 厚生年金受給額に男女差が生じる理由

ではなぜ、男女間で厚生年金受給額に差が生じているのでしょうか。主な理由のひとつとして、女性の勤務状況が影響していることが挙げられます。

厚生年金の受給額は、勤務していたときの年収や厚生年金保険への加入期間などによって決まります。年収や加入期間は人それぞれ異なるため、厚生年金の受給額も異なるのです。

女性の中には、結婚や妊娠、出産などの節目で一度退職や休職をする方も多く、その間は厚生年金保険への加入期間がストップしてしまいます。

出産や育児がひと段落してから復職しても、時短勤務になったり正社員からパート・契約社員といった雇用形態に変更したりするケースなどもあり、年収は退職や休職する前よりも減額になることが考えられます。

3. 厚生年金額を増やす3つのコツ

老後の生活費をできるだけ年金でまかなえるようにするために、何か対策を探している方もいるのではないでしょうか。老後の経済的な不安を解消できるよう、年金額を増やすコツを紹介していきます。

3.1 【厚生年金額を増やすコツ1】厚生年金加入期間を長くする

厚生年金は70歳まで加入することが可能です。定年退職した後も仕事を続け、厚生年金保険に加入して保険料を納めることで、老後に受け取れる厚生年金額を増やせる可能性があります。