公的年金を口座振込で受け取る人は、毎年6月になると日本年金機構からの年金振込通知書が自宅に届きます。
年金振込通知書は公的年金の額面と差し引かれるお金、手取金額が記載された年金受給者にとっての給与明細のような書類です。
年金振込通知書には、年金から差し引かれる税金や社会保険料が記載されています。それらによって年金額が少ないと思う場合の原因を突き止めやすくなるのです。
今回は年金振込通知書に記載されている内容や年金額の疑問がある場合に考えられる原因などを解説します。
1. 6月に届く「年金振込通知書」の見方。書いてある内容は?
公的年金は年度始めの4月分と5月分が6月に振り込まれる後払い形式のため、年金振込通知書は毎年6月に届きます。年金振込通知書の右上には振込先の金融機関名・支店名が記載されています。
表の部分には大きく分けて老齢年金の額面と手取り、税金や社会保険料などの控除額が書かれています。以下、それぞれの内容を解説します。
1.1 老齢年金の額面と手取り
年金振込通知書の表の部分の最上段の「年金支払額」は、支払われる2カ月分の年金の額面金額(控除前)です。年金支払額は「年金額改定通知書」に記載される、「合計年金額(年額)」の6分の1と基本的に一致します。
年金支払額から後述する各種税金や社会保険料を差し引いた残りの金額が、「控除後振込額」です。一般的に年金の最終的な手取り額は額面の90%程度となります。
1.2 老齢年金から天引きされるお金
年金振込通知書の年金支払額と控除後振込額の間には、以下のような天引きされる税金や社会保険料が記載されています。税金や社会保険料を納付書で直接納める方法を「普通徴収」といい、年金からの天引きで納めることを「特別徴収」といいます。
介護保険料額
65歳以上の人は介護保険の第1号被保険者となり、基本的には保険料を年金からの天引きで納めます。年金振込通知書の介護保険料額の欄には、天引きされる介護保険料が記載されます。
後期高齢者医療保険料または国民健康保険料
介護保険料の下の欄には、年金から天引きされる国民健康保険料または後期高齢者医療保険料の金額が記載されます。75歳未満は国民健康保険料、75歳以降は後期高齢者医療保険料です。健康保険の保険料は口座振替も選択できるため、この欄が空欄となる人もいます。
所得税額および復興特別所得税額
老齢年金額が年158万円(65歳未満は108万円)超の人は所得税の課税対象となり、年金から所得税が差し引かれます。「所得税額および復興特別所得税額」欄には、年金支払額から社会保険料と各種控除額を差し引いた額に5.105%の税率を掛けた額が記載されます。
個人住民税額
老齢年金額が153万円(65歳未満は103万円)超の人には、個人住民税額がかかります。個人住民税額の欄には天引きされる住民税額が記載されます。