6月15日には2ヶ月に1度の年金が支給されました。

年金は原則として前々月と前月分が偶数月に支給されるため、今回の支給分は2023年4月~5月分。つまり2023年度分の初回支給だったのです。

年金支給日を前に、6月7日には年金機構から「年金額改定通知書と年金振込通知書」が発送されました。

中には、通知書を見てその金額に困惑した方もいるのではないでしょうか。

「ねんきん定期便」と金額が違う理由について見ていきましょう。

1. 国民年金と厚生年金はどんな制度?

年金には主に「国民年金と厚生年金」があります。年金額だけでなく、加入できる人も違う両者のなりたちについて、まずは整理しておきます。

下図のように「2階建て構造」になっている点に注目しましょう。

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

1階部分の国民年金加入者は、働き方によって3つに分類されます。

  • 第1号被保険者:自営業、20歳以上の学生など
  • 第2号被保険者:会社員、公務員など
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者

一度も厚生年金の加入期間がない場合、老齢基礎年金のみの受給となります。

それに対し、第2号被保険者である会社員や公務員などは、2階部分の厚生年金にも加入します。

つまり、「厚生年金」に加入し受給資格を満たした人は、「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」が受給できることになります。

※要件によって遺族年金や障害年金が受け取れることもあります。

次では「年金振込通知書」の記載内容を見ていきましょう。

2. 年金額改定通知書と年金振込通知書とは?

6月7日には、日本年金機構から「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」が一体となったものが送付されました。

物価・賃金の変動に応じて年度ごとに改定された年金額と、金融機関等の口座振込で6月から翌年4月(2か月に1回)まで毎回支払われる金額を同時にお知らせするハガキです。

年金振込通知書が届いたら、何を確認すればいいのでしょうか。記載例をもとに、ポイントを整理しましょう。

出所:日本年金機構「年金額改定通知書と年金振込通知書(一体となったもの)」をもとに筆者加筆

2.1 (1)国民年金(基礎年金)

国民年金(基礎年金)の基本額、支給停止額、年金額の各金額が記載されます。

2.2 (2)厚生年金保険

厚生年金保険の基本額、支給停止額、年金額の各金額が記載されます。

2.3 (3)合計年金額(年額)

国民年金(基礎年金)と厚生年金保険の年金額の合計額が記載されます。

2.4 (4)年金支払額

1回に支払われる年金額(控除前)が記載されます。2ヶ月ごとの支給になるため、月額を知りたい場合はこの半分が目安となります。

2.5 (5)介護保険料額 (※)

年金から特別徴収(天引き)される介護保険料額が記載されます。

2.6 (6)後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)(※)

年金から特別徴収(天引き)される後期高齢者医療保険料または国民健康保険料(税)が記載されます。

2.7 (7)所得税額および復興特別所得税額

年金支払額から社会保険料と各種控除額(扶養控除や障害者控除など)を差し引いた後の額に5.105%の税率を掛けた額が記載されます。

2.8 (8)個人住民税額(※)

年金から特別徴収(天引き)される個人住民税が記載されます。

2.9 (9)控除後振込額

年金額から特別徴収(天引き)される社会保険料、所得税額および復興特別所得税額、個人住民税額を差し引いた後の振込金額が記載されます。

(※)がついた項目については、あくまでも6月時点での金額になります。8月から天引き額が変わる自治体もあるので、その後の通知書で確認することが大切です。