2.2 年金受給額を知る方法2.ねんきんネット

ねんきんネットは年金加入者がインターネットを利用して、自分の年金記録をいつでもどこでも確認できるサービスです。年金ネットではねんきん定期便と同様に年金記録や見込額を確認できます。

また、見込額に関しては今後の働き方や年金を受取る年齢などの詳細な条件による試算が可能です。

出所:日本年金機構「「ねんきんネット」による年金見込額試算」

ねんきんネットを利用するには、登録が必要です。登録方法には、ユーザーIDの取得またはマイナポータルとの連携の2種類があります。

2.3 年金受給額を知る方法3.公的年金シミュレーター

公的年金シミュレーターは厚生労働省が提供する年金の受取額を試算するツールです。ねんきんネットは利用者登録が必要ですが、公的年金シミュレーターでは不要で、すぐに試算ができます。

公的年金シミュレーターは、ねんきんネットのように詳細条件を変えた試算が可能です。

3. 50歳代から始められる年金受給額を補う制度3選

将来のおおよその年金額が把握できたら、現在の生活費などから老後の生活費を見積もり、不足する金額がいくらかを確認しましょう。

老後の生活費の不足分が多くても、早くから対策を立てれば無理のない準備が可能です。年金受給額を補う制度を3つ紹介します。

3.1 年金受給額を補う制度1.iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは公的年金の上乗せの制度で、個人が毎月積み立てる掛金を自分で運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取る仕組みです。

iDeCoには以下のような3つの税制優遇があります。

  • 掛金が全額所得控除になる
  • 運用中の利益に対して課税されない
  • 受取り時にも所得控除が受けられる

節税の恩恵を受けながら老後資金を準備できます。ただし、原則として60歳まで年金資産の引き出しができない点に注意が必要です。

3.2 年金受給額を補う制度2.NISA(少額投資非課税制度)

NISAは、非課税口座内で買付けた運用商品から得られる運用益が非課税になる制度です。2024年からは現行の制度にあった存続期限がなくなり、恒久的な新制度が始まります。

新制度では現行の一般NISAとつみたてNISAが一本化され、それぞれの非課税期間も撤廃されるため、長期運用での老後資金準備にとても適した制度になります。

また、個人の非課税保有限度額も買付額ベースで1800万円と、現行のつみたてNISA800万円、一般NISA600万円から一気に引き上げられるのです。

つみたて投資枠(つみたてNISA)では、金融庁が選定した長期・分散・積立に適した投資信託で運用できます。そのため、初心者でも選びやすく、取り組みやすい制度です。

3.3 年金受給額を補う制度3.小規模企業共済

小規模企業共済は小規模な会社の経営者や自営業、フリーランスのための退職金制度です。iDeCoやNISAと違い、加入者は運用をする必要はなく、2023年は予定利率1.0%で共済金が算出されます。

掛金はiDeCo同様に全額所得控除の対象となり、iDeCoとの併用も可能です。

共済金は一時金または年金での受取りから選択できます。ただし、掛金の納付月数が240カ月未満で任意解約した場合、元本割れとなる点に注意が必要です。

4. 老後資金準備には早めに取りかかりましょう

老後の年金の見込額を確認すると、現在の収入との差に驚く人もいるのではないでしょうか。年金だけで生活をまかないきれないとしても、50歳代からならさまざまな対策を打つことができます。

どのような老後生活を送るか、何歳まで働くか、完全リタイアまでにいくら準備するかなどは大まかでかまわないので、早めに方針を決めて取りかかりましょう。 

参考資料

松田 聡子