2023年4月の消費者物価指数の総合指数は前年同月比3.5%上昇と、2022年からの急激な物価上昇に歯止めがかかりません。

このようなインフレが年金生活者になってから起こると、「老後破綻するのではないか」と不安に感じる人もいるでしょう。

今回は厚生年金・国民年金の平均受給額と自分の見込額の調べ方、将来の年金額を増やす方法を解説します。

1. 厚生年金と国民年金の平均受給額はいくら?

最初に厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金と国民年金の平均受給額を紹介します。

65歳以上の厚生年金の男女別の厚生年金の平均年金月額(国民年金含む)は、以下のとおりです。

1.1 【男女別】厚生年金の厚生年金の平均年金月額(国民年金含む)

  • 男性:16万9006円
  • 女性:10万9261円

また、男女別の国民年金の平均年金月額は以下のとおりです。

1.2 【男女別】国民年金の平均年金月額

  • 男性:5万9013円
  • 女性:5万4346円

厚生年金は収入に応じて保険料が決まるため、現役時代の収入が多い人ほど受け取る金額も多くなります。そのため、厚生年金の男性と女性の平均年金月額には差が現われたと考えられます。

一方、国民年金は一律の保険料のため、保険料を納めた月数によって受け取る金額が決まる仕組みです。そのため、男性と女性の年金平均月額には大きな差がありません。

1.3 夫婦世帯の年金月額を試算

以上の結果に基づき、夫婦世帯の平均年金月額の合計を試算します。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータを参照し試算した結果をもとに筆者作成

会社員の夫婦共働き世帯と専業主婦世帯で月あたり約5万5000円の差があり、さらに自営業者世帯は専業主婦世帯の約半分ということがわかりました。

2. 将来の年金受給額を知る方法3選

特に厚生年金は収入によって受け取る金額が変わるため、個別の受取額は平均とは大きく異なる場合があります。将来の年金額はなるべく早いうちに把握したほうが、不足分の具体的な対策が立てやすくなります。

ここでは、将来の年金額を知る方法を紹介します。

2.1 年金受給額を知る方法1.ねんきん定期便

ねんきん定期便は国民年金・厚生年金の加入者へ、年に1回誕生月に送付される書類です。

ねんきん定期便に記載されているのは、直近1年間の保険料納付状況、年金加入期間、保険料納付額、年金見込額などです。

50歳未満の人の見込額は、ねんきん定期便作成時の加入実績から計算した年金額です。そのため、年齢の若い人ほど金額が少なく、見込額としてはあまり参考になりません。

これに対し、50歳以上の人の見込額は、ねんきん定期便作成時の加入条件が60歳まで続いた場合の見込額です。

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和5年度送付分)」