3.「国民年金(基礎年金)のみの夫婦」が受給する年金月額はいくらか

会社員の夫と専業主婦の世帯がもらえる年金は、夫の厚生年金(国民年金含む)と妻の国民年金です。一方で、自営業者の夫婦は国民年金のみしかもらえません。

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

では、自営業者夫婦(国民年金のみ夫婦)が6月15日からもらえる年金はいくらなのでしょうか。

厚生労働省「令和5年度の年金額改定について」によると、20歳~60歳まで満額の国民年金保険料を納めた人がもらえる年金は月6万6250円(昨年度は月6万4816円)です。そのため、年金保険料を満額納めた自営業者夫婦がもらえる年金は月13万2500円(6万6250円×2人分)となります。

年間では今年度は国民年金のみの夫婦で159万円になります。去年度は年155万5584円なので、年間で3万4416円増えることになります。

国民年金だけの場合、今年度は会社員の夫と専業主婦の世帯より、もらえる年金は月9万1982円も少ないです。生活水準にもよりますが、自営業者夫婦が年金だけで生活を送るのは一般的に難しいでしょう。

そのため、公的年金以外に個人年金保険での年金の上乗せや、NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)を使った資産形成を検討してみてください。

ただし、紹介した月13万2500円は会社員や公務員経験がまったくない自営業者夫婦の場合の金額です。過去に会社員や公務員として働いていた経験がある人は、厚生年金をもらえるため受給額は多くなります。

4.【厚生年金と国民年金】ひと月の平均受給額はいくらか

2023年度の年金学例を確認しましたが、平均的な年金受給額はいくらでしょうか。

2022年12月26日に公表された厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、最新の国民年金と厚生年金の平均月額は以下の通り。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

4.1 国民(基礎)年金の平均年金月額(令和3年度)

5万6368円

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

4.2 厚生年金の平均年金月額(令和3年度)

全体:14万3965円

  • 男性:16万3380円
  • 女性:10万4686円

※国民年金部分を含む

国民年金では満額より約1万円低く、厚生年金も男女差があるのがわかりますね。

このように年金は個人の加入状況によって異なりますので、ご自身の場合を確認しましょう。

5. 年金増額も実質はマイナスに。6月送付の年金振込通知書も確認を

今回は平均的な標準夫婦をご紹介しましたので、ご自身について、金融機関等の口座振込で年金を受け取られている方は、6月に送付される年金振込通知書を確認しましょう。

まだ老後を迎えていない人は、自分が将来いくらの年金をもらえるか知っていますか。「ねんきんネット」を使えば、簡単に自分がもらえる年金を把握できるため、利用してみてください。老後にもらえる具体的な年金額がわかれば、必要な老後対策が自ずと見えてくるでしょう。

また、年金の支給水準は徐々に減っていく可能性があることにも注意が必要です。これは、少子高齢化が続く日本で年金制度を続けるために取られている「マクロ経済スライド」という仕組みが影響しています。

たとえば、2023年6月15日から年金支給額は増額となりますが、増額率は2022年の物価上昇率よりも少ないです。そのため、実質的な支給水準はマイナスとなります。

今の若年層が将来もらえる年金は、現在の支給水準よりも低くなることを覚えておきましょう。

参考資料

苛原 寛