3. 厚生年金や国民年金の受給額を上げる方法3選

厚生年金に加入していても、現役時代の報酬や加入期間によっては、受給額が少なくなることがわかりました。

年金額を上げるために、できる対策はあるのでしょうか。

ここでは3つに絞ってご紹介します。

3.1 国民年金の未納・免除分を「追納」する

国民年金の受給額は、保険料を支払った月数によって決まります。

過去に保険料を支払っていない期間がある場合、追納可能期間であればあとからでも納付できます。

比較的多いケースとして、国民年金保険料の学生納付特例制度があります。「ねんきんネット」などで可能期間内かどうか確認しましょう。

3.2 繰下げ受給をする

厚生年金も国民年金も、66歳以降に受給を開始することで、受給額を増やすことが可能です。これを年金の繰下げ受給といいます。

2022年4月からは75歳まで年金を繰り下げることが可能になりました。

繰り下げる月ごとに0.7%ずつ年金が増えるため、10年間で最大84%増加できます。

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとにLIMO編集部作成

ただし、税金や保険料の負担が増える点や、加給年金が受け取れない点に注意が必要です。

年金を受け取るまでは無収入になるため、余剰資金がない場合は働き続ける必要も出てくるでしょう。

3.3 就職・転職は厚生年金も考慮する

厚生年金で受け取る金額は、加入期間と報酬の額によって決まります。

加入期間が長ければ長いほど受給額があがるので、厚生年金制度のある会社員である期間を長くするのも一つの方法です。

他にも、独立と転職で迷った場合、厚生年金の観点からは転職が良い選択となります。

もちろん、他の要素も複合的に考慮しなければならないので、年金だけで決めるのはよくありませんが、そういう視点を持つことも大切でしょう。

扶養内でパートをしている方は、目先の手取りだけでなく、老後の年金にも着目して働き方を考えることも重要になります。

4. 老後対策は個人の状況に合わせて

厚生年金(国民年金を含む)の平均は月額で約14万円ですが、男女差が大きくあることに注意が必要です。

共働き世帯が増える中、男女差は埋まりつつあるものの「個人差」は今後も続くことが予想されます。

また、6月15日支給分からの年金は増額されることが決まっていますが、それでも物価上昇には追いついていないのが現状です。

ねんきんネットやねんきん定期便などで目安額を確認した上で、個々に合わせた老後対策が大切になるでしょう。

ご紹介した年金アップ術に加え、iDeCoやつみたてNISA、個人年金保険なども含め、自分なりの老後対策について考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子