老後資金といえば、人生の3大支出のうちのひとつです。

最近では物価上昇を肌で感じることもあり、老後資金がしっかり貯められるか悩む方も多いのではないでしょうか。

6月15日支給の年金から、3年ぶりの増額になることが決まっています。

しかし「どれだけ年金がもらえるのか」「どれだけ老後資金を貯めたらいいのか」について、あいまいかもしれません。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金を含む厚生年金の平均月額は14万3965円です。

ただし、年金受給額は個人差が激しいのが実態です。

ここで年金クイズです。

厚生年金の受給額「男女差は年間で70万円以上!」これは本当でしょうか。◯か✕か、すぐに答えられないかもしれませんね。

くわしく見ていきましょう。

1. 厚生年金の受給額、男女差は年間70万円以上なのか

厚生年金の受給額を知るために、まずは厚生労働省の資料から、厚生年金の受給額ごとの人数を見ていきましょう。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

1.1 厚生年金・金額別の受給者数(男女合計)

  • 1万円未満:9万9642人
  • 1万円以上~2万円未満:2万1099人
  • 2万円以上~3万円未満:5万6394人
  • 3万円以上~4万円未満:10万364人
  • 4万円以上~5万円未満:11万1076人
  • 5万円以上~6万円未満:16万3877人
  • 6万円以上~7万円未満:41万6310人
  • 7万円以上~8万円未満:70万7600人
  • 8万円以上~9万円未満:93万7890人
  • 9万円以上~10万円未満:113万5527人
  • 10万円以上~11万円未満:113万5983人
  • 11万円以上~12万円未満:103万7483人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5237人
  • 13万円以上~14万円未満:91万8753人
  • 14万円以上~15万円未満:93万9100人
  • 15万円以上~16万円未満:97万1605人
  • 16万円以上~17万円未満:101万5909人
  • 17万円以上~18万円未満:104万2396人
  • 18万円以上~19万円未満:100万5506人
  • 19万円以上~20万円未満:91万7100人
  • 20万円以上~21万円未満:77万5394人
  • 21万円以上~22万円未満:59万3908人
  • 22万円以上~23万円未満:40万9231人
  • 23万円以上~24万円未満:27万4250人
  • 24万円以上~25万円未満:18万1775人
  • 25万円以上~26万円未満:11万4222人
  • 26万円以上~27万円未満:6万8976人
  • 27万円以上~28万円未満:3万9784人
  • 28万円以上~29万円未満:1万9866人
  • 29万円以上~30万円未満:9372人
  • 30万円以上~:1万4816人

厚生年金の平均額は14万3965円ですが、男性は16万3380円、女性は10万4686円です。

その差は5万8694円なので、年間にすると70万4328円になります。

つまり、クイズの正解は「◯」になりますね。

なぜこのような男女差が生まれるのかについて、深掘りしてみましょう。

2. 女性の厚生年金が少ない理由

女性の年金受給額が少ない傾向になる理由は、主に次の2つです。

  • 現役時代の収入が低い
  • 厚生年金の加入期間が短い

そもそも厚生年金の報酬比例部分は、次の計算式で決定します。

出所:日本年金機構「老齢年金ガイド 令和5年度版」

  • 2003年3月以前:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
  • 2003年4月以降:平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

※スライド率等については含まず
※乗率は昭和21年4月2日以降生まれの方の給付乗率

今の年金世代が現役世代だった頃、女性の賃金は男性よりも低いことが多かったものです。

また結婚や出産、親の介護などで退職することが一般的だったので、加入期間も男性より短くなっていました。

その結果、男性よりも女性の年金受給額は少なくなってしまったと考えられます。