相次ぐモノやサービスの値上がりで、老後の生活に不安を感じる人も多いかもしれません。

帝国データバンク「食品値上げ、緩やかにペース減速へ」によれば、食品の6月の値上げは2419品目です。

老後は年金が収入のメインとなり、収入が決まった中での値上げは苦しいところがあるでしょう。

では、現在の60歳代がもらう年金の相場はいくらなのでしょうか。

本記事では、60〜69歳がもらう厚生年金・国民年金の平均受給額を解説します。60〜69歳の就業率も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 60~69歳の「厚生年金と国民年金」はいくらか

厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、60〜69歳がもらう年金額は以下のとおりです。

出所:厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

1.1 60~69歳の厚生年金受給者の平均年金月額

  • 60歳:8万7233円
  • 61歳:9万4433円
  • 62歳:6万1133円
  • 63歳:7万8660円
  • 64歳:7万9829円
  • 65歳:14万5372円
  • 66歳:14万6610円
  • 67歳:14万4389円
  • 68歳:14万2041円
  • 69歳:14万628円

※64歳以下は、特別支給の報酬比例部分のみを受給する人の平均年金月額を記載
※国民年金部分を含む

1.2 60~69歳の国民年金受給者の平均年金月額

  • 60歳:3万8945円
  • 61歳:4万150円
  • 62歳:4万1904円
  • 63歳:4万3316円
  • 64歳:4万3842円
  • 65歳:5万8078円
  • 66歳:5万8016円
  • 67歳:5万7810円
  • 68歳:5万7629円
  • 69歳:5万7308円

※64歳以下は、繰上げ支給を選択した人の平均年金月額を記載

通常、年金の受取開始時期は65歳からです。

上記に記載の64歳以下が受け取る厚生年金額は、厚生年金の受給開始が60歳から65歳に制度変更となった際の緩和措置として年金の一部(特別支給の報酬比例部分)を受け取る人の受給額を記載しています。また、64歳以下の国民年金額は繰り上げ受給を選択した人の受給額です。

そのため、一般的な年金受給額は65歳以上のデータが参考となります。

会社員や公務員などの厚生年金受給者は月に約14万円5000円の年金を受給可能です。一方で、国民年金受給者は月に約6万円しか年金を受け取れません。その差は約2.5倍です。

国民年金のみを受け取る自営業者が、年金だけで生活するのは一般的に難しいでしょう。

2. 60~69歳男性の就業率はどれくらいか

年金だけでの生活が難しい場合、長く働くことも選択肢の一つです。総務省統計局「2.高齢者の就業」によると、60〜69歳男性の就業率は以下のとおりとなります。

出所:総務省統計局「2.高齢者の就業」

2.1 60~64歳男性の就業率

年 就業率

  • 2011年 70.8%
  • 2012年 71.3%
  • 2013年 72.2%
  • 2014年 74.3%
  • 2015年 75.5%
  • 2016年 76.8%
  • 2017年 79.1%
  • 2018年 81.1%
  • 2019年 82.3%
  • 2020年 82.6%
  • 2021年 82.7%

2.2 65~69歳男性の就業率

年 就業率

  • 2011年 46.3%
  • 2012年 46.9%
  • 2013年 48.8%
  • 2014年 50.5%
  • 2015年 52.2%
  • 2016年 53.0%
  • 2017年 54.8%
  • 2018年 57.2%
  • 2019年 58.9%
  • 2020年 60.0%
  • 2021年 60.4%

年々、就業率は上がっています。定年退職の対象年齢引き上げや再雇用制度の導入をした企業が増えたことなどが就業率増加の理由として考えられるでしょう。

65〜69歳男性のうち60.4%の人が就業しており、働いていない人の方が少数派です。

3. 60〜69歳女性の就業率はどれくらいか

男性の就業率を確認しましたが、女性はどれくらいの人が働いているのでしょうか。総務省統計局「2.高齢者の就業」によると、60〜69歳女性の就業率は以下のとおりです。

出所:総務省統計局「2.高齢者の就業」

3.1 60~64歳女性の就業率

年 就業率

  • 2011年 44.2%
  • 2012年 44.5%
  • 2013年 46.0%
  • 2014年 47.6%
  • 2015年 49.4%
  • 2016年 50.8%
  • 2017年 53.6%
  • 2018年 56.8%
  • 2019年 58.6%
  • 2020年 59.7%
  • 2021年 60.6%

3.2 65~69歳女性の就業率

年 就業率

  • 2011年 27.1%
  • 2012年 27.8%
  • 2013年 29.3%
  • 2014年 30.5%
  • 2015年 31.6%
  • 2016年 33.3%
  • 2017年 34.4%
  • 2018年 36.6%
  • 2019年 38.6%
  • 2020年 39.9%
  • 2021年 40.9%

男性と比べて就業率は低いです。ただし、年々就業率は増加しています。2011年における65〜69歳女性の就業率はわずか27.1%でしたが、2021年における就業率は40.9%です。

平均寿命が伸びている日本では、今後も就業率の増加が予想されます。

4. 6月支給分から老齢年金は増額へ

2023年度の年金額は、68歳以上1.9%、67歳以下で2.2%増額されています。しかしマクロ経済スライドにより、物価上昇ほどは増えていません。

今後の少子高齢化を考えると、早くから老後対策をしたいところでしょう。

老後対策はさまざまです。NISAやiDeCoなどで老後資金を作る方法もあれば、老後も働いて年金の受給開始を遅らせることで年金額を増やす方法もあります。

これを機に自分に合った老後対策を考えてみてください。

参考資料

苛原 寛