3. 厚生年金と国民年金だけで足りるのか
65歳以上のひとり世帯の生活費を確認しましたが、年金だけで生活費のすべてを賄うことは可能なのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金と国民年金の平均受給額は以下のとおりです。
3.1 厚生年金と国民年金の平均受給額
- 厚生年金受給者(会社員)の平均年金月額 :14万3965円
- 国民年金の平均年金月額 :5万6368円
会社員や公務員などの厚生年金受給者は、月に14万3965円の年金を受け取れます。65歳以上ひとり世帯の平均生活費は月に14万4747円のため、厚生年金受給者は年金だけでほぼ生活費を賄えるでしょう。
一方で、自営業者や専業主婦などの国民年金のみしか受け取れない人の平均年金額は月に5万6368円です。国民年金のみしか受け取れないひとり世帯が年金だけで生活費を賄うことは難しいでしょう。
ただし、女性の方が男性より賃金が低かったり、育児や介護で離職したりするため、厚生年金の平均額は男性よりも少なくなっています。
また、配偶者が死亡して現在ひとり暮らしをしている世帯は「遺族年金」が受け取れることもあります。
特に、会社員や公務員の配偶者に扶養されていた人は遺族厚生年金がもらえる場合が多いです。
ご家庭によって状況が異なるので、遺族年金の受給要件や対象などを確認しましょう。
4. ねんきん定期便やねんきんネットの確認を
老後は突然やってくるものではありません。事前に備えることが可能です。
まずは、今の生活を続けたら、どのような老後が待っているのかをシミュレーションしてみてください。
現役世代の方は、ねんきん定期便やねんきんネットで将来の受給予定額を知ることも大切でしょう。
また、配偶者がいる人は配偶者が死亡した際の生活までシミュレーションしておくことが重要です。
遺族年金が受け取れるのかなどを把握しておきましょう。
※本記事は執筆時点の最新公開データをもとに執筆されたものです。
参考資料
苛原 寛