各地で梅雨入りしており、住宅の中の湿気が気になる方も多いかもしれません。

長年住み続ける家は、どこかのタイミングでリフォームが必要になることがあります。

外壁塗装もそのひとつ。

塗装業者に自宅の外壁塗装工事の見積もりを依頼して「100万円」と提示された方の中には、それが適正価格なのかどうかを知りたいという方が多いと思います。

そこでこの記事では本当に100万円という工事費用が適正な価格なのか、また外壁塗装の工事費用はどのようにして算出されるのかなどを詳しく紹介します。

併せてトラブル回避のポイントも紹介するので、是非参考にしてください。

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外壁塗装工事費用の相場はどれくらい?

総務省の家計調査によると、「外壁・塀等工事費」の費用は2016年以降で一貫して増加傾向が続いています。

外壁塗装の工事費用は、塗装する建物の大きさや使用する塗料の種類、劣化度合い、立地条件、周辺環境などによって変動します。

したがって建物の大きさが異なれば当然塗装費用も異なります。

一般的には延べ床面積が30坪程度の戸建住宅の場合で60~90万円前後、40坪程度の場合には90~140万円前後になることが多いようです。

外壁塗装費用は外壁の塗装面積が大きくなるほど高額になり、塗装面積は一般的に建物の坪数(延べ床面積)が大きくなるほど増加するので、まずは建物の坪数を確認する必要があります。

建物の坪数ごとの外壁塗装費用の相場は、概ね次のようになります。

出所:筆者作成

30坪では60~90万円、40坪では90~140万円が目安です。

したがって、国内では一般的な大きさである30〜40坪程度の住宅であれば、100万円という見積もり金額はほぼ適正な価格といえます。

外壁塗装工事費用の内訳とそれぞれの割合

外壁塗装工事費用の内訳とそれぞれの費用の割合は概ね次のようになります。

出所:筆者作成

項目ごとにそれぞれ費用相場があるので、それらをあらかじめ把握しておくことで業者の見積もり金額が適正価格かどうかを判断する際に役に立ちます。

項目別の費用相場は次のようになります。

1. 足場代

足場は職人の安全面や作業効率向上のために必要になるばかりでなく、近隣への塗料の飛散などのトラブルを避けるためにも欠かせないものです。

さらに足場にはさまざまな種類があります。

使用する足場の種類によって単価(掛け面積1㎡あたりの価格)が異なりますが、住宅の外壁塗装でよく使用するくさび式足場(ビケ足場)の単価は1000~1200円/㎡で、30坪程度の建物の場合には20万円前後になります。

2. 材料費(塗料代等)

外壁塗装工事の材料費にはシーリング代や養生用ビニールシート代、マスキングテープ代などがありますが、最も多くを占めるのが塗料代です。

外壁の塗料にはさまざまな種類がありますが、費用が高額なものになるほど耐用年数が長くなります。

主な塗料の種類と費用の相場(材工価格)については表にまとめています。

出所:筆者作成

3. 施工費(人件費)

施工費(人件費)は、塗装作業に着手する前の高圧洗浄や養生、下地処理(ひび割れ補修、ケレン等)などを含めた職人の手間賃で、作業に関わる人たちが労力を提供した報酬として受け取る対価のことをいいます。

したがって同じような規模の建物であっても、経年劣化が著しい建物や狭小地・住宅密集地に建つ手間がかかる建物ほど施工費(人件費)が高額になる傾向があります。

4. その他の費用(諸経費等)

外壁塗装工事費用には他にも現場を管理するための人件費(現場管理費)や、現場まで車で移動する際の経費、工事中の有料駐車場代、現場で発生したゴミの廃棄処分費用、近隣対策費などがあります。

外壁塗装のトラブルを回避するためのポイント

外壁塗装工事で良くあるトラブルには、工事中の臭いや騒音に対する近隣からのクレームや、工期の遅延、塗り残しや塗りムラなどの不具合の発生、想定外の追加工事の発生などがあります。

このようなトラブルを避けるためには、工事着工前に近隣への挨拶をきちんと行うと共に、業者と契約書の取り交わしを行って工事箇所と完了期日について書面で十分に取り決めておくことが大切です。

また工事引き渡し後の保証についても、事前に保証書の発行の有無を業者に確認しておきましょう。

さらに外壁塗装工事では、完成後の仕上がりが顧客がイメージしていたものと異なるというトラブルが度々発生しています。

小さなサイズの色見本帳をもとにして色決めを行うとこうしたトラブルが発生しがちなので、A4サイズ程度の色見本を使って太陽光のもとで外壁にあてがいながら色決めを行うことが重要です。

外壁塗装工事のまとめ

外壁塗装工事に着手する際には、事前に見積もり書や契約書を良くチェックして、不明点や疑問点がないようにしておくことが大切です。

それでも万一トラブルに巻き込まれてしまった場合には、国土交通大臣指定の住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)などの無料相談窓口があるので、利用してみると良いでしょう。

参考資料

亀田 融